70年代になると米軍側は韓国政府に基地村の環境改善を要求するようになった。“管理人”の朴正煕氏は「基地村浄化委員会」を作り、性病の撲滅などを強化。女性は国家のため米兵に体を利用されたあげく、性病にかかったとたん、「モンキーハウス」と名付けられた施設に強制収監された。
〈女たちは誰もがモンキーハウスでの生活を恐れた。ベッド、毛布、薬品、医者‥‥、すべてが米製の収容所で、犯罪者扱いされながら、毎日米軍たちに股を開き、きれいな女かそうでないかを検査されるのは屈辱的なことだった〉(「基地村の女たち」)
韓国野党女性議員は、女性家族部長官に慰安所の過酷な様子をこう突きつけている。
「(基地村の女性を)強制収容して治療をしていた。性病が完治するまでペニシリン注射が行われ、この過程でペニシリン・ショックを起こして死亡する女性は多かった」
これでは朴大統領がオバマ大統領を前に、慰安婦問題を追及できなかったのも当然だろう。
「オバマ氏が同席している中で慰安婦問題を取り上げれば、米国も巻き込むことになる。韓国は経済や防衛問題で米国に頼っているので、怒らせるわけにはいきません」(藤井氏)
アメリカに配慮を欠かさない一方、韓国は、中国のご機嫌取りに必死だった。ハーグ出発直前まで発表を引き延ばしながら、急遽、中韓首脳会談をセッティングし、土下座外交を行ったのだ。しかし、米中の両国にゴマをする朴大統領の「コウモリ外交」は、思惑どおりになっていないと藤井氏は言う。
「昨年6月の訪中時に、朴政権は軍事協力に踏み込んでしまった。米国のヘーゲル国防長官が『米国と中国どちらを選ぶのか』と強く迫ったそうです。二股外交は行き詰まり、股裂き状態。米中を利用する韓国の幻想は崩壊寸前です」
そんな中、国内でも朴大統領に窮地が迫っている。韓国では6月に統一選挙があるからだ。
「3月に最大野党の民主党と次の大統領候補の無所属・安哲秀〈アン・チョルス〉議員が率いる勢力が合併して新党が誕生した。支持率も高くて、政府与党の苦戦は免れません」(黒田氏)
国内外で追い詰められる朴大統領に、日本が手を差し伸べることはないだろう。
「首脳会談でカメラマンから握手を求められても朴大統領は応じず。それなのにテレビに映らない場面では笑顔で握手をしたのですが、直後には『私と握手したことは言わないで』と安倍総理に告げたそうです」(外信部記者)
まるで“子供おばさん”な大統領のふるまいに、世界は失笑している‥‥。