セ・パともに優勝争いがクライマックスを迎える中、「来季」に向けて隠密の動きを見せている球団がある。衝撃度が高いのは、球団を売却したい意向を持つ千葉ロッテ。かつて物議を醸した「あの企業」との交渉が、クライマックスに向かおうとしているのである。
すでに球界では知られた話題として流布している。千葉ロッテマリーンズの「身売り」問題である。
「セ、パ問わず、オーナー会議や代表者会議に出席した幹部が『そういう球団があるね』と話すのを何度も聞いたことがあります。少なくとも、2年ほど前から」(遊軍記者)
何も寝耳に水の話ではない。ロッテ売却に関しては、数年前から噂が絶えず、完全に消えることはなかったからだ。それが今、いよいよ「具体的」になってきたという。事情を知る球団関係者が明かす。
「私が身売りの話を聞いたのは一昨年オフ、11月頃だったと思います。ちょうど伊東勤監督(52)の就任が決まったあと。この時点で『リクシル』という名前は出ていて、すでに話し合いが始まっている、ということでした」
リクシルと聞いて、なるほどとうなずくプロ野球ファンは多いだろう。10年オフ、横浜の買収に乗り出して物議を醸した過去があるからだ。同社はトステム、INAX、新日軽、東洋エクステリアなどと次々と統合し、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの住宅設備大手である。球団関係者が続ける。
「今シーズン、リクシルの幹部が頻繁に、QVCマリンフィールドで観戦しています。偵察、吟味のためだと。ある球団スタッフは『合意に向かって進んでいる』と、交渉が順調であることを打ち明けています」
さるリクシル社員もその内情を認めて、
「確かに社内ではロッテという具体的な名前が出ていて、社員の間で話題になっています。近い将来、買収するというのは知られた話というか、そうなるものだと思っていますが‥‥」
セ・パ12球団の中でも、ことに熱狂的なファンを持つ千葉ロッテ。なぜ球団を手放さなければならないのか。球団関係者は表情を曇らせる。
「毎年赤字が蓄積してロッテ本社がそれを補填しているとされ、その額は27億円とも‥‥。10年に西村徳文監督でリーグ3位からCSを勝ち上がって日本一になった時でさえ、20億円近い赤字だったといいます。そもそもロッテはすでに世界規模の企業であり、これ以上、(知名度やイメージアップのために)球団を保持し続ける理由はないと思います。だから重光武雄オーナーは売りたがっている。しかし、次男の重光昭夫オーナー代行は反対の立場だと。現状ではいずれオーナーになるわけですが、代行ではなくオーナーと書かれた名刺を(みずからが韓国ロッテグループ会長を務める)韓国で配りたいからだ、という笑い話のような噂が球団内から出ています」