産経記者が明かす。
「そもそも韓国政府は水面下で『穏便に済ますので謝ってほしい』『訂正してほしい』などと持ちかけてきたのです。慰安婦問題で河野談話を発表した結果、国際社会でそれを悪用した。一度要求を飲めば『産経が韓国に土下座した』と吹聴するのは目に見えています。断固として飲むわけにはいかない。電話中に変な音がするので支局の電話は当局に盗聴されているようです。また、加藤本人だけではなく、無関係な支局員に対する尾行も行われている」
報道機関のプライドを背負いながら、韓国と戦う産経新聞と加藤氏。藤井厳喜氏はこう憤る。
「北朝鮮は日本人を拉致しましたが、今回の一件は韓国政府による拉致ですよ」
しかし、加藤氏は気丈に答える。
「今の状況は、『狭義の拘束』ではないと考えています。ただし、デモで支局への出入りの自粛を余儀なくされる場合があり、8月7日以降、長期間にわたり出国禁止処分をかけられ、10月1日に発令された新任務(社会部編集委員、警察庁・拉致問題担当)に就けないでいることは記者としてとてもつらいです」
そもそも、この件は「名誉棄損」の問題で、最初に報じた朝鮮日報には何の処分もなく、引用した加藤氏だけを狙い撃ちにした。多くの韓国人記者たちも、この一件におびえているという。ある韓国大手新聞記者が証言する。
「大統領に恋人がいること、その人物がチョン氏であることは事実です。密会も事実。加藤さんの起訴も個人としては反対です。こんなことを認めたら、何かを書いたことでいつ自分がやられるかもしれない。軍事政権時代に逆戻りです」
韓国を激怒させたのは産経による「従軍慰安婦否定キャンペーン」だった。産経は「慰安婦」でも「密会」でも事実を主張し、対する朴政権が権力を使って潰そうとしている構図だ。
「あの記事は名誉棄損にあたらないと考えています」(加藤氏)
何より、この一件を受けて、韓国ではインターネットで大統領の悪口を書くことへの監視が始まった。
「国家の対外的なイメージの低下より『姫』(朴槿恵)のご心中を察して、憎きヤツを痛めつけてやる──韓国型大統領制の中心に猛女が座った。その当然の帰結です。病気は重い」(室谷氏)
“牙剥く者は狩る”と考える大統領が治める国は、今後も我々の隣国であり続けるのだが、
「日本で、多くの方々に、私の身を案じていただいているとうかがっております。感謝申し上げます」(加藤氏)
一刻も早い加藤氏の解放が待たれる。