さて、今季はパ・リーグのペナントを最後まで盛り上げたオリックスも、激震のオフとなってしまった。
16勝5敗、防御率1.98という成績で「沢村賞」も受賞した絶対的エース・金子千尋(31)がFA権を行使したのである。
メジャー移籍を画策する金子が、来季の海外FA権取得を前にポスティングでの渡米を球団に認めさせるための駆け引きと見られている。オリックスとしても来季にタダで放出するなら、入札金20億円を得て今季に送り出すほうが得策なのでは、という展開になっているのだ。
「オリックスがポスティングを認めなければ、(FA宣言すると海外FA権取得は4年後になるため)来季のポスティングを認めることを条件に国内他球団に移籍すると見られています。ただし、そもそも金子にメジャー志向があったのか疑問が持たれている。オフの日米野球で、鹿取投手コーチが代表の投手陣を前に、国際球に対する違和感について聞き取りをしたんです。すると金子も、『キャッチボールならともかく、ピッチングでは滑ります』と答えたといいます。本気で今季のメジャー移籍を考えているなら、現時点で準備していないなんてことがありますかね」(スポーツ紙デスク)
確かに、オリックス残留が濃厚と見られていた金子が唐突にFA宣言した展開は、球団としても寝耳に水だったろう。金子の真意は本当にメジャー挑戦なのだろうか。
「金子はオリックスの本拠地・大阪に家を建てるわけでもなくマンションを転々としています。前々からメジャーを視野に入れていつでも出られる準備をしていたとも言えますが、実は金子が行動を起こす時には自分の意思よりも重視するものがある。風水です。メジャー志向のなかった金子に挑戦を進言する取り巻きがいて、風水に傾倒したとの声もありますが、何よりエキセントリックなほどのマニアぶりを聞くにつけ、FA宣言の真意にも疑問符が付きます」(球界関係者)
多彩な変化球を操り、150キロ前後の直球と緻密なコントロールで打者を翻弄する金子が、まさか運気に行動を左右されていたとは‥‥。球界関係者が明かす。
「キャッチボールでも、相手を代えたり、方角を見ながら場所を移動したりします。カメラマンが金子のグラブを撮影しようとした際も、グラブを置く位置まで動かすんです。そのストイックさは公然の秘密となるほどの半ば“変人”で、チーム内でも浮いているといいます。後輩・西勇輝(24)も金子の投球術には心酔していましたが、行動に関しては『ついていけない』とこぼしていたそうです」
そして金子は、すでに風水の結論から去就のしぼり込みまで始めているという。
「移籍するなら西の方角は運気が悪いと出たのか、オリックスとは本拠地も近い阪神だけにはFA宣言よりも前に断りを入れたといいます。シーズン中には巨人や阪神へのFA移籍が取りざたされましたが、実際に阪神が獲得に名乗りを上げない背景にはそうした事情もある」(在阪スポーツマスコミ)
この記事が掲載される時点ですでに結論が出ている可能性もあるが、はたして、金子にはどんな運気が巡ってきているのか。ポスティングが容認されるかにもかかっている。
「同じくメジャー移籍を希望している糸井嘉男(33)の手前、オリックスはおいそれと容認できないでしょう。国内移籍にしても、マネーゲームの得意な巨人やソフトバンクも静観している。というのも、FA制度が改定された08年の代表者会議の席でも指摘されていた日米争奪戦となる事態が現実に勃発してしまった。他球団もルール上でグレーゾーンの“腰掛け移籍”を肯定しづらい状況ですね」(スポーツ紙デスク)
オリックスとしても、巨人と松井氏のような冷めた距離は作りたくないだろうが、変わり者は、はたしてどんな決断を下すのか。