「昨年12月と比べて約5倍の売れ行きです。生産が追いつかず、小売店さんや消費者の方々にご迷惑をかけてしまい、申し訳なく思っております。当面は他の商品の製造を抑えて、その分『R─1』の製造に注力する態勢を取っていくつもりです」
こう話すのは、食品業界の大手・㈱明治の広報部。同社の「明治ヨーグルト『R─1』」が、インフルエンザ予防に有効だという理由で大ブーム。先月、「あさイチ」(NHK)などでも取り上げられ、売り上げが急上昇。全国的に品薄状態になるほど、大人気となっているのだ。
そもそも、このヨーグルトに含まれる「R─1乳酸菌」については、昨年8月、有田共立病院・井上文夫院長と、順天堂大学医学部・奥村康特任教授が研究結果を公表している。
調査が行われたのは10年10月からの約半年間、当時インフルエンザ感染率が4・37%と全国ワースト1位を記録した佐賀県が舞台だ。有田町町内の小中学生全員(1904人)と、役場職員にR─1ヨーグルト飲料(112ミリリットル)を1日1本飲ませ、インフルエンザ(A、B、新型)の感染状況を調べた結果、有田町の感染率はわずか0・04%に減少。県全体の数値と比べると、約100分の1も低下したというのだ。
研究結果を公表した順天堂大学の奥村特任教授が解説する。
「R─1乳酸菌には、人の免疫を担当するナチュラルキラー細胞(以下NK細胞)を活性化させる働きがあります。このNK細胞は体内を常にパトロールしていて、インフルエンザなどのウイルス感染細胞を見つけると単独で殺す働きを持っています。R─1乳酸菌は発酵する過程で多糖体(糖を含んだタンパク質)を大量に作り出す性質があり、この多糖体が体内に入るとNK細胞が活性化されて、より活発にウイルスを退治するんです」
有田町で実施したアンケートでは「カゼにかかりにくくなった」「便通がよくなった」「乾燥肌が軽減」などの回答も寄せられた。
奥村特任教授が続ける。
「カゼをひきやすい人、不規則な睡眠時間などによって生活リズムを崩しやすい人、日々、大きなストレスを抱える人などは、NK細胞の活性が低い傾向があります。そのため、悪性細胞を攻撃する力が弱くなって、結果的に病気やカゼになりやすいんです」
長期的に見た場合には発ガン率にも影響するほど、NK細胞の活性化は健康にとって重要だという。
「体内では毎日5000個のガン細胞が発生しているんですが、それをNK細胞が処理することで、ガンの発生を防いでいるんです。しかし、NK細胞の機能が低下すると、生き残ったガン細胞が増殖。やがて、病気としてのガンにかかることになります。NK細胞はビタミンCやキノコ類に含まれるβグルカンを摂取することでも活性化しますが、大量に摂取しなければならないという問題があります。その点、R─1乳酸菌はヨーグルト100CCで摂取する量でいいため、効率的と言えるでしょう」(前出・奥村特任教授)
「R─1乳酸菌」は、摂取し続けることも大事だそうなので、いつでも手に取れるよう、市場が回復してくれることを願うばかりだ。
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