「松ケンのギャンギャンしたセリフは視聴者無視だ!」
歴代ワースト3という低い視聴率でスタートしたNHK大河ドラマ「平清盛」の視聴率急落が止まらない。50年の歴史を誇る大河ドラマに、いったい何が起こっているのか!?
上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)が、この惨状に物申す!!
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「大河ドラマは幕末、戦国時代に続いて源平合戦ものが視聴率を取ると言われてきましたが、それはあくまで源氏、義経を主人公にしたもの。清盛はアンチヒーロー。視聴者にとって『清盛=悪役』がすり込まれているんです。清盛を主人公にするのはやはりハードルが高かった。しかも清盛が白河法皇のご落胤とする設定も飛躍しすぎではないか」
無理があるのは主人公の設定ばかりではない。壮大な歴史絵巻をひもとく大河ドラマには、評価の高い原作本の存在も不可欠。ところが、「平清盛」では、オリジナル脚本で勝負したことで、テレビと原作本の相乗効果が望めなかったこともマイナスに響いた。
「源平時代、しかも清盛ものとなると原作となる歴史小説も少ない。だからオリジナル脚本で勝負したのでしょうが、原作本の人気に頼れないこともマイナスからのスタートの要因です」
実際、「平清盛」はこれまでの「大河」の常識を覆すような〝仕掛け〟が満載だ。そのため、放送直後から「大河らしからぬ」といった苦言がたびたび、マスコミを騒がせている。ある意味、制作サイドの意気込みの表れと言えそうだが、そのチャレンジ精神が、皮肉にも、視聴率の低下にもつながっているという。とりわけ、主役の松山ケンイチ(26)の起用は裏目に出たと言えよう。
「若手のホープとはいえ、松山ケンイチの主役抜擢は大河ドラマとしては、まだ早すぎたのではないか。これが大河ドラマでなかったら、もっと評価されていたと思う。若手イケメン俳優を起用して若い視聴者を取り込もうとするあまり、長年大河ドラマを見続けてきた視聴者にそっぽを向かれている。はなから若者は見ていないと腹をくくって作ってもいいのではないか。それが大河の風格のようなものではないでしょうか」
また、松山の「ギャンギャン」した畳みかけるセリフ回しについても、
「感情的なセリフのやり取りが多く、大河ファンにはなじまない。海賊との合戦シーンも、ともすればマンガ『ワンピース』のように見えてしまう」
確かに重厚な作りこそ、本来の大河ドラマに求められているのかもしれない。
「寝室でのお色気シーンは逆に大河ファンに愛想を尽かされる可能性がある。それよりまず、源頼朝の語りの他に、当時の時代背景や公家社会をわかりやすく説明するナレーションを入れることが先決ではないか。なじみのない時代を交通整理することが真っ先に必要です」
はたして大河ドラマ「平清盛」の再生はあるのか。