スポーツ

松井秀喜「逆襲のフルスイング」(2)

打率復活でも残留できず…
 振り返れば、松井の苦闘は、シーズン開幕から始まったことではなかった。昨季在籍したアスレチックスと今季、再契約できなかった時から始まっていたのかもしれない・・・。
「マツイはトレード要員」
 松井の去就問題が最初に地元のサンフランシスコ・クロニクル紙に報じられたのは、昨年8月14日だった。
 アスレチックスは、同6月から指揮官がボブ・メルビン監督に交代すると同時に、松井を3番に指名。すると、それまで打率2割1分6厘と不振だったが、スタメンに定着するや松井のバットは上昇気流をつかんだ。
 夏場の成績は、87打数39安打。後半戦だけの成績を見れば、2割9分5厘、出塁率も3割5分3厘と高く、辛口の米メディアを黙らせている。
 松井自身も「復活=アスレチックス残留」と解釈していた。しかし、地元メディアの「サンフランシスコ・クロニクル」紙は、好成績を尻目にさらに追い打ちをかけていく。
「再契約の可能性も大きいが・・・」(9月28日)
「やっぱり、再契約の可能性は消えているようだ」(10月29日)
 一連の報道は「スーザン・スラッサー」という同紙のトップ記者による執筆だった。
 この記事の中では、松井の微妙な立場とともに、再三にわたって「ステイ・ヤング」という言葉が繰り返された。いわゆるチームの「世代交代」であり、地元ファンの関心も、松井の去就から、完全に若手選手に移っていた。
 チーム事情が松井の評価を覆すことはなかった。
 そして松井は、去就未定のまま、帰国の途に着く(11年12月28日)。
 松井は飛行機に搭乗する直前、現地日本人メディアに囲まれた時、ある記者が発したこの質問に言葉を詰まらせた。
「マイナー契約でも米球界に残るのか──」
 少し考えてから松井は、
「まだそこまでは考えていない」
 と返すのが精いっぱいだった。

カテゴリー: スポーツ   タグ:   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored
    318390

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<中年太り>神経細胞のアンテナが縮むことが原因!?

    327330

    加齢に伴い気になるのが「中年太り(加齢性肥満)」。基礎代謝の低下で、体脂肪が蓄積されやすくなるのだ。高血圧や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に結びつく可能性も高くなるため注意が必要だ。最近、この中年太りのメカニズムを名古屋大学などの研究グル…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<巻き爪>乾燥による爪の変形で歩行困難になる恐れも

    326759

    爪は健康状態を示すバロメーターでもある。爪に横線が入っている、爪の表面の凹凸が目立つようになった─。特に乾燥した冬の時期は爪のトラブルに注意が必要だ。爪の約90%の成分はケラチン。これは細胞骨格を作るタンパク質だ。他には、10%の水分と脂質…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

注目キーワード

人気記事

1
広島⇒オリックス移籍「九里亜蓮の人的補償リスト」到着で広島ファンが「最も欲しい投手」
2
高校サッカー応援マネージャー月島瑠衣「まさかの完全無視」対応にカメラマンの深い嘆き
3
「3月で撤退」老舗業者が投げかけた駅弁への「誤った日本食文化と食の工業製品化」激烈苦言
4
「田中将大は200勝するか」江川卓が分析したら「あと3勝は若い時の20勝の難しさ」
5
「黒星先行になる」「スピードは戻らない」田中将大200勝達成の現実味を分析した江川卓の「ガチ評価」