スポーツ

松井秀喜 「逆襲のフルスイング」(7)

師匠から学んだ「プロの心構え」
 師匠の教えは「技術」だけにとどまらなかった。
「試合を休むな」
 それが長嶋監督のプロとしての教えでもあった。それは松井本人のためだけではない。ファンのためでもあり、大勢の観客の中には1年に1度、地方在住の人なら、一生に1度しか東京ドームに来られない人もいる。「そういう人のために」という意味であった。
 松井がメジャー昇格直後、マドン監督に「アイム、レディ」(準備はできている)と即答したのは「ファンのため」であり、「プロとしてどんな状況下でも準備を怠らない」という、師匠・長嶋の教えが導いた答えでもあった。
 いわばプロとしての心構えに日本の野球もメジャーの違いもない。
 松井はメジャー昇格が言い渡された際にも、思わぬハプニングが起こったという。
「(5月28日のマイナー戦の)試合後、(ダーラムの)チャーリー・モントーヨ監督にメジャー行きを命じられると、他のマイナー選手から祝福の拍手が送られたというのです。彼らはメジャー昇格を争うライバル同士です。握手などの祝福は見たことがありますが、全員がまとまって拍手をしたのは前例がないと思います」(前出・米国人スポーツライター)
 祝福を送る輪の中には“昇格”を争ったレスリー・アンダーソンの姿もあったという。アンダーソンはマイナー40試合を消化した時点で、打率3割2分4厘。WBCでキューバ代表にも選ばれた期待の選手だ。松井と同じ左バッターで、「将来性」を考えれば、アンダーソンが昇格してもおかしくはなかった。
 だが、守備に問題があった。レイズの球団記録となる10人のDL入り(故障者リスト)を受け、松井がDHで出場した試合ではテスト的にレフトの守備にも入っている。しかし、一塁手の急造外野手だったため、極端に守備範囲が狭く、マドン監督のニーズに合わなかったため、松井に先を越される結果となった。
「松井のメジャーでの勢いが止まったら、アンダーソンの存在が再びクローズアップされるはず」(前出・米国人スポーツライター)
 松井の試練はこれからも続くのである。

カテゴリー: スポーツ   タグ:   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored
    318390

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<中年太り>神経細胞のアンテナが縮むことが原因!?

    327330

    加齢に伴い気になるのが「中年太り(加齢性肥満)」。基礎代謝の低下で、体脂肪が蓄積されやすくなるのだ。高血圧や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に結びつく可能性も高くなるため注意が必要だ。最近、この中年太りのメカニズムを名古屋大学などの研究グル…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<巻き爪>乾燥による爪の変形で歩行困難になる恐れも

    326759

    爪は健康状態を示すバロメーターでもある。爪に横線が入っている、爪の表面の凹凸が目立つようになった─。特に乾燥した冬の時期は爪のトラブルに注意が必要だ。爪の約90%の成分はケラチン。これは細胞骨格を作るタンパク質だ。他には、10%の水分と脂質…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

注目キーワード

人気記事

1
広島⇒オリックス移籍「九里亜蓮の人的補償リスト」到着で広島ファンが「最も欲しい投手」
2
高校サッカー応援マネージャー月島瑠衣「まさかの完全無視」対応にカメラマンの深い嘆き
3
「3月で撤退」老舗業者が投げかけた駅弁への「誤った日本食文化と食の工業製品化」激烈苦言
4
「田中将大は200勝するか」江川卓が分析したら「あと3勝は若い時の20勝の難しさ」
5
「黒星先行になる」「スピードは戻らない」田中将大200勝達成の現実味を分析した江川卓の「ガチ評価」