師匠から学んだ「プロの心構え」
師匠の教えは「技術」だけにとどまらなかった。
「試合を休むな」
それが長嶋監督のプロとしての教えでもあった。それは松井本人のためだけではない。ファンのためでもあり、大勢の観客の中には1年に1度、地方在住の人なら、一生に1度しか東京ドームに来られない人もいる。「そういう人のために」という意味であった。
松井がメジャー昇格直後、マドン監督に「アイム、レディ」(準備はできている)と即答したのは「ファンのため」であり、「プロとしてどんな状況下でも準備を怠らない」という、師匠・長嶋の教えが導いた答えでもあった。
いわばプロとしての心構えに日本の野球もメジャーの違いもない。
松井はメジャー昇格が言い渡された際にも、思わぬハプニングが起こったという。
「(5月28日のマイナー戦の)試合後、(ダーラムの)チャーリー・モントーヨ監督にメジャー行きを命じられると、他のマイナー選手から祝福の拍手が送られたというのです。彼らはメジャー昇格を争うライバル同士です。握手などの祝福は見たことがありますが、全員がまとまって拍手をしたのは前例がないと思います」(前出・米国人スポーツライター)
祝福を送る輪の中には“昇格”を争ったレスリー・アンダーソンの姿もあったという。アンダーソンはマイナー40試合を消化した時点で、打率3割2分4厘。WBCでキューバ代表にも選ばれた期待の選手だ。松井と同じ左バッターで、「将来性」を考えれば、アンダーソンが昇格してもおかしくはなかった。
だが、守備に問題があった。レイズの球団記録となる10人のDL入り(故障者リスト)を受け、松井がDHで出場した試合ではテスト的にレフトの守備にも入っている。しかし、一塁手の急造外野手だったため、極端に守備範囲が狭く、マドン監督のニーズに合わなかったため、松井に先を越される結果となった。
「松井のメジャーでの勢いが止まったら、アンダーソンの存在が再びクローズアップされるはず」(前出・米国人スポーツライター)
松井の試練はこれからも続くのである。
-
-
人気記事
- 1
- 広島⇒オリックス移籍「九里亜蓮の人的補償リスト」到着で広島ファンが「最も欲しい投手」
- 2
- 高校サッカー応援マネージャー月島瑠衣「まさかの完全無視」対応にカメラマンの深い嘆き
- 3
- 「3月で撤退」老舗業者が投げかけた駅弁への「誤った日本食文化と食の工業製品化」激烈苦言
- 4
- 「田中将大は200勝するか」江川卓が分析したら「あと3勝は若い時の20勝の難しさ」
- 5
- 「黒星先行になる」「スピードは戻らない」田中将大200勝達成の現実味を分析した江川卓の「ガチ評価」
- 6
- 新庄剛志監督が発火点「よくぞ言った」VS「お前が語るな」日本ハムとソフトバンク「ファンの罵倒合戦」
- 7
- 「セ・リーグDH制導入」の激論再燃!「すぐにでも」藤川球児VS「反対」三浦大輔の決着は…
- 8
- 香取慎吾が告白した「アイドルの闇」…キムタクVTRの謎と中居スキャンダル
- 9
- 4番は森下で…阪神・藤川球児監督「新クリーンナップ構想」にOBから疑問とダメ出し
- 10
- 吉沢亮の泥酔不法侵入事件で浮上した「ドラマの呪い」出演者が次々と不祥事を…
-
急上昇!話題の記事(アサジョ)
-
働く男のトレンド情報(アサ芸Biz)
-
-
最新号 / アサヒ芸能関連リンク
-
-
厳選!おもしろネタ(アサジョ)
-
最新記事
-
アーカイブ
-
美食と酒の悦楽探究(食楽web)