社会

東電OL殺人事件 真犯人はコイツだ(7)

「疑惑の隣人」との再対峙!

 しかし、私にはまだ光明も射していた。私と釜田を引き合わせたKである。その後も釜田は連絡を取り合っていたのだ。

 そして、私はKに「釜田の血液型を聞きだして欲しい」と依頼した。すると、数日後には返答があった。

「O型だって、それがどうかしたの?」

 事件発生当初からわかっていたことだが、被害者の体内に残留していた精液はO型だった。私は身震いしたのを覚えている。

 そして、ゴビンダ元被告の再審開始を決定づけたのは、現場に残されていた陰毛と残留精液のDNA型が一致したことだった。

 イチかバチか、私はKに「釜田に会いたい」と頼んだ。今度は包丁を突きつけられるだけでは済まないかもしれない。それでも会わないわけにはいかなかった。すると、釜田は意外にも面会に応じたのだ。

 約束した日時に、私は円山町の料理屋の一室を借り切った。対決の時を待ったが、釜田は姿を現さなかった。Kによると、釜田は私を刑事と勘違いしていたという。

「捕まってたまるか」

 そうKに話したというのだ。釜田はいったい何の容疑で逮捕されると思ったのだろうか。

 以降、釜田は再び円山町から姿を消していた。結婚した12歳年上の妻とともに、どこかへと転居してしまったのだ。

 私は釜田を探した。「支える会」からの依頼期限は間もなく切れようとしていただけに焦りもあった。

 そして、必死に釜田の居所を割り出した。渋谷区とは別の区に転居していた。むやみに接触しては、また逃げられてしまう。そこで、私は釜田の姿を隠し撮りすることにした。その写真をもとに、再び目撃者を探そうと思ったのだ。

 そして、私は釜田が住む集合住宅の前に張り込んだ。そんなある日、私が設置したカメラの前に、宅配ピザの配達員がバイクを停めた。バイクが邪魔なので、移動してもらおうと近づいた瞬間であった。

 運悪く、玄関から出てきた釜田と鉢合わせになってしまったのだ。

「この野郎! 何しに来たんだ」

 釜田は怒声を上げた。私は突きつけられた包丁が頭に浮かび、身構えた。

 ところが、釜田は脱兎のごとく逃走したのだった。カメラを手に取り、私は追いかけた。タクシーに飛び乗る釜田を撮影はできたが、釜田は再び行方をくらましてしまう。

 事件直前に被害者と釜田が言い争っている姿を目撃したバーのママに、私は撮影した釜田の写真を見せた。もちろん、赤の他人の写真を数枚混ぜて示した。

 すると、ママは釜田の写真を指差しながらこう言った。

「この人が似ているけど、もうちょっと痩せていた男だったような‥‥」

 この時点で、事件から8年が過ぎていた。その歳月は、人々の記憶を曖昧にしていく。私の調査は歯切れの悪い結末を迎えようとしていた。

カテゴリー: 社会   タグ:   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored
    318390

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<中年太り>神経細胞のアンテナが縮むことが原因!?

    327330

    加齢に伴い気になるのが「中年太り(加齢性肥満)」。基礎代謝の低下で、体脂肪が蓄積されやすくなるのだ。高血圧や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に結びつく可能性も高くなるため注意が必要だ。最近、この中年太りのメカニズムを名古屋大学などの研究グル…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<巻き爪>乾燥による爪の変形で歩行困難になる恐れも

    326759

    爪は健康状態を示すバロメーターでもある。爪に横線が入っている、爪の表面の凹凸が目立つようになった─。特に乾燥した冬の時期は爪のトラブルに注意が必要だ。爪の約90%の成分はケラチン。これは細胞骨格を作るタンパク質だ。他には、10%の水分と脂質…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

注目キーワード

人気記事

1
TOKIO「ウルトラマンDASH」列車競争企画に疑惑浮上「通常運行」とは大違いの「ゆっくり走行」
2
【詳報】ブルガリアの「女ノストラダムス」が予言していた「世界の終わりは2025年から始まる」
3
「浅田真央リンク」新設に地元住民が「やめてくれ!」で荒川静香との「立川バトル」勃発危機【2024年下半期BEST記事】
4
【京都金杯】これはすごい!川田将雅を怒らせたレイチェル・キング「こじ開け騎乗」の腕前
5
ナゾの箱根駅伝番組MCと番宣なしで「新しいカギ」出演…正月の本田翼に「不思議な異変」