事件

親分紳助が抱いた芸能界の「愛人」たち(5)紳助「絶縁」でも揺るがない「吉本帝国」のTV局支配

「引退会見の音声を 使うな」と圧力かけた」
「絶縁」はヤクザ社会において最も厳しい処分である。芸能界に一大勢力を築いていた「紳助一家」のトップ、そして大功労者である紳助本人を一瞬にして「絶縁」へと追い込んだのが吉本興業。ヤクザ親分も驚きの果断をやってのける厳しい姿勢は当然、外部にも向けられる。

 紳助の引退から2週間が過ぎた。テレビの報道はすっかり影を潜めている。 ある民放局社員がその理由をこう説明する。
「紳助引退に関して、伝えるべきニュースがなくなっているという面もありますが、それ以上に吉本が業界団体を通じて申し入れをしてきたのが大きい。『過去の暴行事件の会見映像を使うな』から始まり、引退会見の映像の扱い方、最終的には引退会見の音声すら使用してくれるな、となった。要は圧力に屈したんです」
 確かに、最近の数少ないテレビ報道では、紳助の静止画が使われることが多かった。また、紳助の声はなく、ナレーションが入っていた。しかし、そんな圧力は「報道の自由」を盾に突き返せるのではないか。
「報道の現場の意見はそうであっても、どこの局もバラエティ番組がある。そして、吉本の芸人を使っていない局はありません。どうしても、会社の都合を考えると、吉本に気を遣ってしまうのです」(前出・社員)
 紳助はレギュラー番組6本を抱えたまま引退した。その一つである「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)では、紳助の代役を東野幸治(44)が務めた。また、「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京系)の代役は今田耕司(45)だった。いずれも吉本興業の芸人である。
「吉本は番組プロデューサーに、紳助の穴を埋めるために、『ギャラ3カ月分はいりませんから』と吉本芸人を売り込んだそうです。関西商法のエゲツないところであり、テレビ局にとっては、この不景気にありがたい話なんですよ」(バラエティ番組スタッフ)
 テレビ局の「吉本頼み」はこれだけではない。
 制作会社幹部が言う。
「吉本は自前のタレントを起用して、自前で番組を制作しているんです。もちろん、他の大手事務所も同様に番組を制作していますが、吉本が他と違うところは、スポンサーまで用意してくるところです。芸能事務所が制作会社と広告代理店の機能まで併せ持っているんです。スポンサーが見つからない深夜枠を抱えるテレビ局にとっては魅力的ですよ。おまけに制作費も安上がりなわけですから、吉本を使うことは1粒で2度も3度も〝オイシイ〟というわけです」
 アメとムチを使い分け、テレビ局を「支配」する吉本興業。紳助を「絶縁」にしたところで、痛くもかゆくもないのかもしれない。

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