飛田の基本料金は15分1万1000円、20分1万6000円、30分2万1000円など。一番短い15分コースの場合、1万1000円の取り分の基本は、店が5000円、女の子5000円、呼び込みのオバちゃんが1000円だ。
15分といっても、いろいろ準備があるので、接する時間は7分くらい。実働7分で5000円。30分コースなら実働15分で1万円。人気の子なら、1日に20人近くお客がつくから、軽く10万円は超える。中には3カ月で600万円近く稼ぐ子もいる。つまりそういう子は店にも600万円落としてくれるわけだから、スカウトも気合いが入る。
「女の子は自分が何をするのか、知っていて来ます。『そんなのありなんですか?』などと言う子はいない。全て稼ぐためと割り切って来ている。メインと青春通りなら基本は、全てゴム付き、キスなし、バストタッチなしだから、割り切りやすい。なので求人広告を見た子の中には、ただキレイなだけでなく、ビックリするような経歴、学歴の女の子もいる。大阪の有名大学の学生、公務員、上場企業在職のOLなんかは、もう普通です」
2年前には関東の超有名国立大学に通う現役学生で実家が開業医をしているというお嬢さんが、夏休みの間だけ働きに来た。風俗は初めてだが、飛田なら研修も必要なく、大阪だから親バレ、友達バレもない。
「マンスリーマンションを借りて、2カ月間、生理の時もほぼ毎日働いていて、300万近いお金をためて帰った。これまで飛田のことを書かれた本などを読むと、『不幸な訳ありの女の子ばかりが集まっている』という書き方をされています。でも今は、自分で派手な生活をするために来ている子のほうがずっと多い。訳ありの子、親、家族、彼氏の借金のためという子は、10人のうち1人か2人くらい。そういう子にとって、生きるための最後のとりでが飛田だったりするわけです」
杉坂氏の店にも時折、訳ありの子が面接に来た。脳梗塞で倒れた父親が抱えていた借金と住宅ローンを払うため、1年に1000万円ずつ返済し、3年で完済した。借金がなくなり、親の介護をするだけになったら、最後にお礼を言って、二度と現れることはなかった。他にも、国家資格を取るためなど、夢や目標の実現のために来る子も少なくない。
「特に多かったのが看護師を目指している子。家の事情で、勉強しながら生活費も稼がねばならない子たちです。でも、ハンバーガーショップで週6日バイトしていたら勉強できない。当時、時給が700円くらいですから、8時間働いても1日5600円。飛田なら15分で稼げる。だから資格を取りたい子は、みんな言います。『1日1本で十分ですから、あとは勉強の時間に充てさせてください』。それで実際に看護師の資格を取って、今も病院で働いている子がいます」