こうした不穏な動きは、読売サイドも察知。すぐさま対抗策に打って出た。それが、清武氏のインタビュー2日後に朝日新聞に掲載された、渡邉会長のインタビュー記事である。もちろん、清武批判のオンパレードだった。スポーツ紙デスクが明かす。
「あれは渡邉会長がみずから朝日に売り込んだというか、持ちかけたインタビューだと聞きました。清武氏を抱え込もうとしている朝日に対する牽制、揺さぶりです」
一説には、「インタビューをさせるから、清武獲得はやめるように」という趣旨のことを朝日にやんわりと要求した、とも言われるが‥‥。
いずれにしても、顧問就任に横ヤリを入れる、異例のライバル紙登場だったのだ。
そして、実は朝日が清武氏の引き抜き交渉を画策するのは、読売への「報復措置」でもある、との指摘も。
きっかけとなったのは、今年6月28日、朝日の系列新聞社である日刊スポーツの定時株主総会だった。ここで突然、緊急動議が提出され、三浦基裕社長(当時)が解任されたのだ。そしてクーデターを起こした創業一族の川田員之会長が、社長を兼任することになる。読売グループ関係者が言う。
「読売新聞系のスポーツ報知が、解任された三浦社長を顧問として迎え入れたのです。掟破り、禁じ手であり、過去にこんなことはなかったでしょう。三浦氏は日刊スポーツの、例えば販売ルートや発行部数、取材ノウハウ、野球評論家のギャラなどのデータを持ち出し、報知に提供したのではないかと言われています」
「報知=読売」が犯したタブーに、朝日が「目には目を」と対抗したのが、「清武顧問」交渉だったというのだ。「清武VSナベツネ」の醜悪な対立は、まさに「朝日VS読売」の代理戦争の様相を呈しているのである。
渡邉会長は、清武氏を相手に訴訟を起こすことを明言し、清武氏も徹底抗戦の構えを見せている。泥沼の抗争は、ライバル新聞同士のプライドを賭けた戦いでもあるのだ。
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