●ゲスト:桐谷広人(きりたに・ひろと) 1949年生まれ、広島県出身。投資家、棋士(七段)。08年のリーマン・ショックと信用取引で資産3億円を6分の1にまで減らして以降、生活のほとんどを企業の株主優待で賄い、暮らしている。12年よりその独特なライフスタイルがテレビ番組で特集される機会が増え、ブレイクに至る。桐谷さんの「ガチャガチャ」やアプリ、Tシャツが発売されるなど、お茶の間の投資家として絶大な人気があり、「桐谷さんの株主優待生活」(角川書店)など、その生活ぶりの密着本も大人気である。
生活のほぼ全てを株主優待券で賄い、現金を使わずに生きる桐谷広人氏。その独特の人となりがテレビで知られるやいなや大人気となり、今お茶の間で最も熱い視線を送られる65歳だ。株主優待の基礎知識から、氏の「恋愛裏事情」まで、天才テリーも「先読み」できない話が飛び出した!
テリー 桐谷さんは、もともとはプロの将棋棋士なんですよね。
桐谷 はい。57歳で引退して、株を始めたのは35歳くらいからですね。プロ棋士の時は将棋が本職ですから、株は趣味だったんですけどね。
テリー それが一時期、3億もの資産を築いたわけでしょう。
桐谷 ピーク時でそれぐらいありました。
テリー 現金で持っていたんですか?
桐谷 いえいえ、株券の時価総額が、3億円分ぐらいあったわけですね。
テリー なるほど。じゃあその株を全部売れば、そのくらいのお金になったということか。それがリーマン・ショックで大損したと。
桐谷 一気に6分の1になりましたね。1日に2000万円ぐらい時価総額が減ったりしました。
テリー 3億が5000万円に。そんな時って、眠れないでしょう。
桐谷 眠れなかったですね。夜中もニューヨークのダウがどうなっているか気になって、パソコンを数秒ごとにクリックしたり。
テリー 棋士も引退したあとで、収入もなかったわけですよね。
桐谷 無収入のところに信用取引でもものすごい損をしたんです。それで1日に、追加保証金を二百何十万とか百何十万、毎日払っていかなきゃいけない。どんどん株を売って払っていって、現金が全然なくなって。
テリー うわぁ。
桐谷 家も賃貸でしたから、家賃も払えない。田舎に引っ込もうかなと思ったんですけど、田舎に一度引っ込むと、もう二度と東京に出てこれないと思ったし。
テリー 家賃が出せないのは、気持ち的にもキツいよね。
桐谷 そういう生活の中で、株主優待のある株は残しておいたので、お米や居酒屋の金券やクオカードとか、いろんなものが家に届くわけですね。しかたなしにそれで一生懸命に生活していたら、たまたまテレビに取り上げられて、おもしろがられまして。
テリー 今や桐谷さんの生活に密着したムック本も出るくらい大人気じゃないですか。そのカバンも株主優待ですか。
桐谷 もちろん株主優待。今日私が身につけてるものは、全部株主優待で手に入れたものです。
テリー 株は全部でどれくらい持ってるんですか。
桐谷 六百数十社分ですね。お財布に優待券を入れて持ち歩いています(と、財布を取り出す)。
テリー わー、ちょっと見せてください。
桐谷 期限が来る順番にしまっているんです。例えばこれは「ポプラ」というコンビニの優待券。期限が来ると、ただの紙切れになるわけですね。だからとにかく期限内に使う必要がありまして。
テリー ああ、いつまでも使えるわけじゃないんだ。
桐谷 ええ。期限が近いものは、早く使い切らなくちゃいけません(と、優待券を次々とテーブルに並べだす)。