2016年秋ごろの開業が迫る豊洲新市場。その目玉ともいうべき観光拠点「千客万来施設」の主役でもあった、1億5000万円マグロで有名な大手すしチェーン「すしざんまい」が突如撤退を表明。新施設計画そのものが頓挫することが決定的となり、波紋を呼んでいる。
「2月の大和ハウス撤退でも嫌な予感はしましたが、今回の件で豊洲では大騒ぎですよ。とくに新築マンションの購入者たちから悲鳴が聞こえます」(住宅情報誌ライター)
築地からの市場移転反対の声が多くありながら、商業施設や新型マンションの建設ラッシュでその声を強引に封印、さらに東京五輪選手村の建設予定地にもなるなど、今ではその「資産価値」ばかりが注目を集めるようになった豊洲地区。
「五輪決定後は価格がさらに上昇したにもかかわらず、一部上場企業のファミリー、投資などで資産を築いた青年実業家など、新セレブたちがこぞって豊洲のマンションを買い漁るようになりましたからね」(前出・ライター)
70平方メートル程度の3LDKでも、大手ゼネコンの物件なら「8000万円前後はする」というほど、豊洲はセレブ仕様となってしまったわけだが、昨年あたりから売り出された高額物件のウリの1つに「千客万来施設」がクローズアップされていた。一時的な東京五輪よりも、東京グルメを代表する観光施設が徒歩圏にある「資産価値」に注目する購入者が多いというわけだ。
「ところが今回の騒動で、新築マンションを契約した人たちから資産価値の下落に繋がると、怒りの声が上がってますね」(前出・ライター)
しかし怒りの声がある一方で、「ざまあみろ」の声も驚くほど多い。アベノミクスなどとは無縁、収入の一向に上がらない中小のリーマンたちだ。ネット上では、「豊洲マンション族の若夫婦がテレビでチヤホヤされていて憤りを感じた」「『豊洲アドレスがうれしい!』などの広告コピーを見せられても、自分じゃ死んでも買えませんよ」、あげくには、「施設頓挫はざまあみろですよ」といった声まで聞こえてくる。
一時的な頓挫とも推測できる今回の事態だが、勝ち組の驕りか、負け組の遠吠えか、豊洲問題はニッポン格差社会の縮図とも言えそうなのだ‥‥。