7月1日、フィギュアスケートの高橋大輔選手が現役復帰を発表した。現役引退から4年ぶり、32歳にしての挑戦に至った理由について、スポーツライターがこう分析する。
「2年に1度見直されるフィギュアスケートのルールですが、五輪後には特に大きな改正が行われます。6月のISU(国際スケート連盟)の会議で、今季から新たなルールが決定され、4回転を跳べばよいという時代から、より完成度が求められる方向に変化しています。ジャンプの基礎点が引き下げられ、GOE(出来栄え点)が今までの7段階から11段階に変更されています。簡単に言ってしまうと、いたずらに4回転ジャンプなどの高難度の技に挑戦することより、演技の正確性や芸術性を高めることが十分評価され、高得点につながるようになっているんです。今のスケート界の、細やかでいてダイナミックな難易度の高いステップさばきの先鞭をつけたのも、音楽と一体となった踊りのようなプログラムを滑り始めたのも、高橋選手だと言っても過言ではありません。それゆえ、単なる思いつきでの現役復帰ではなく、確固たる勝算を見越したうえでの復帰なのではないでしょうか」
高橋選手自身、まずは全日本に照準を絞っている様子。4年のブランクは本人がいちばんよくわかっているはず。焦らずに、まずは自分の演技を高めることから始めるようだ。とはいえ、日本には五輪の金銀メダリストがいるため、全日本の最終グループを目指すことは、すなわち世界の頂点と戦うということになる。
高橋選手の新たな挑戦に、期待が高まるばかりだ。
(芝公子)