「体重が増える」「血糖値の上昇を招きやすい」「肥満や糖尿病になる」と敬遠されることの多い果物。しかし、肥満、高血糖、動脈硬化を改善する「スグレモノ」だった──。
日本は、世界的に見ても果物の消費量が少ない。先進国の中では34カ国中32位(FAO「FAOSTAT」より)というありさまで、1位のオランダの約1/3ほどの消費量。そして、特に若い世代や働き盛りの世代が果物をあまり食べないという。その理由が「血糖値を上げる」「太る」「中性脂肪を増やす」「糖尿病になる」などからというが、このほど5年ぶりに改訂された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」(日本動脈硬化学会)によれば、むしろ逆で、果物の摂取量が多い、またはよく食べている人ほど、脳卒中や心筋梗塞死亡率が低く、糖尿病予防にもよく、柑橘類の摂取頻度が多いほど総死亡率がも低く、また、果物の摂取量が多いほど高血圧有病率が低いと言っている。
管理栄養士の中川貴子さんが言う。
「日本人には果物はデザートです。食後、満腹の状態で食べることが多い。それで、肥満や血糖値が上がるという誤解が生じたのではないか」
そして中川さんは、日本人は、健康を目指そうと野菜ばかり食べようとしている。もう少し果物のメリットにも目を向けるべきだと語る。酷暑で野菜が高騰した時など果物に親しむチャンスなのだとも言う。そしてこう付け加える。
「できるだけ旬の果物そのものを摂ることを心がけることです。100%フルーツジュースも健康によさそうに見えますが、血糖値などを上げやすいし、濃縮還元の過程で抗酸化ビタミンやミネラル、食物繊維がかなり失われてしまっているので効果は少なくなります」
酷暑だった今年の夏。まだ出回っているスイカにくやメロン、旬の梨、ブドウなど豊富な果物を食べて健康になろうではないか。
(谷川渓)