例年にない猛暑が続いているが、この時期は「日光蕁麻疹」に注意が必要だ。
これは日光に当たると出現する蕁麻疹だ。日光を浴びた皮膚の部分が、赤いミミズ腫れのようになり、強い痒みを伴う。痒みに耐え切れず掻いてしまうと、患部が赤く盛り上がり、湿疹の範囲が広がってしまうのだ。「日光蕁麻疹」は数分程度日光を浴びただけでも発症するが、多くの場合は、数時間程度で自然に消える。しかし、悪化すると頭痛、吐き気、アナフィラキシーショックを伴うこともあるため侮ってはいけない。
一般的に、皮膚に当たる太陽光線は主に紫外線、可視光線(目に見える光)、赤外線がある。「日光蕁麻疹」の原因の多くは、この可視光線である。肌に可視光線が当たることにより皮膚の内部でヒスタミンが作り出され、アレルギー物質を攻撃して湿疹を発症する。しかし、まれに紫外線が引き金となる場合もある。
治療方法は、一般的な蕁麻疹の治療と同じように「抗ヒスタミン剤」が有効だ。他にも、原因となる太陽光線を少しずつ浴びることにより、蕁麻疹が出現しにくくなると言われているので、減感作療法も治療法のひとつの選択肢となる。しかし、中には「抗ヒスタミン剤」だけでは治療効果が乏しいケースもある。その場合は、専門医による免疫学的な治療が必要になるが、副作用もあるため慎重に選択しなければいけない。
予防法は太陽光線に直接当たらないようにすること。日焼け防止に市販の「日焼け止め」クリームを使う人が多いが、これはあくまで主に紫外線をブロックするためのものである。それに対し「日光蕁麻疹」は可視光線に反応して症状が現れるので、日焼け止めでは予防が期待できない。そのため日光の光が強い時間帯には外出しない、長袖を着る、帽子をかぶる、日傘を用いるなど太陽光線に直接当たらないことが肝心だ。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。