秋以降、インフルエンザが例年よりも早く流行し、新型コロナウイルスとの同時流行はあるのか。9月21日の厚労省の専門家会合では懸念が示された。
すでに、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスに同時感染すると、肺炎が重症化・長期化する可能性もあることが、長崎大学感染症共同研究拠点研の研究グループなどによる共同研究の論文(2021年)で示されている。
両者は、ウイルスの形や大きさ、鼻水や咳、関節痛、発熱などの初期症状がよく似ていることでも知られる。自身で見分けることは困難なため、少しでも感染の疑いがある場合には、すぐに医療機関にかかるのが望ましい。
万が一、インフルエンザの流行期に発熱などの症状があった場合は、新型コロナウイルスとインフルエンザの両方を検査することが推奨されている。現在行われている検査では、新型コロナはPCR検査が主流だが、インフルエンザでは、抗原検査が中心となっている。
基本的な予防方法は、マスクの着用、手洗い・うがいの徹底、人と人との接触機会を少なくするなど、共通点が多いのも特徴だ。万一感染した際の重症化を避けるためには、ワクチンの接種が推奨されている。日本では、7月からインフルエンザと新型コロナウイルスに対応したワクチンの同時接種が可能となっている。
すでにインフルエンザの流行期に差しかかるため、期間を空けずにワクチン接種できることで、両者の感染拡大の抑制が期待できそうだ。しかし、インフルエンザ以外のワクチンとの同時接種における有効性はまだ示されていないので注意が必要だ。
水際対策が緩和されるなど、海外旅行も以前に比べてしやすくなり、気持ちも緩みがちだが、引き続き感染対策は徹底しよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。