日照時間が短くなる時期は、寝つきが悪かったり、熟睡できないなど睡眠に関して悩む人が多い。良質な睡眠を取るにはどうすればよいのか。
ポイントはホルモンの一種である「セロトニン」と「メラトニン」である。
「セロトニン」は平常心や安定感をもたらしてくれる脳内物質で、特にストレスに対して効能がある。不足してしまうと、イライラや仕事への意欲の低下、不眠といった症状がみられる。
「メラトニン」は脳の松果体と呼ばれる部分から分泌される睡眠ホルモンで、自然な眠りを誘う作用がある。
実は「メラトニン」を分泌する材料になるのが「セロトニン」だ。起床してから分泌が始まる「セロトニン」は、日が沈むに従って徐々に量が減っていき「メラトニン」に変化していく。つまり「セロトニン」の量を増やすことが「メラトニン」の量を増やし睡眠の質を高めることにつながるのである。
「セロトニン」の生成を促すには、積極的に日光を浴びることが有効だ。起床時にはカーテンを開けるなど、夏の頃よりも意識的に光を浴びることが重要になってくる。
これ以外に有効な方法は、寝具と適度な運動だ。寝具は秋向けの商品を使うほうが望ましい。10月はまだ気温が高い日もあるため、睡眠の不快の元になるムレを防ぐには吸水性と保湿性に優れている寝具がベストだ。その中でも、適度な保湿力のある真綿の布団を選ぶのがオススメ。真綿は、綿の1.5倍の吸水性を持ち、何層にも重なった構造から、空気を多く含んでいるからだ。
さらに適度な運動は、体温が上がり、筋肉がほぐれて血行もよくなるため、疲労緩和の手助けになる。30分程度のウォーキングやジョギングなど、少し汗ばむ程度の軽めの運動を無理なく続けるようにしよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。