就寝中に突然足がつって目を覚ました──。いわゆる「こむら返り」は、50歳以上になると誰もが一度は経験すると言われている。
「こむら返り」は、自分の意志とは無関係に、ふくらはぎの筋肉が痙攣して、つってしまう状態。足の指や太腿などでも発症することが多い。激しい運動中や筋肉を使いすぎた後にも起こる。発症すると激しい痛みを感じるが、ほとんどの場合は数分間で収まる。
主な原因は、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの栄養不足だ。特にマグネシウムが不足すると症状が出やすくなると言われている。これはミネラルの一種で、収縮した筋肉を弛緩させる働きがある。そのため、汗をかいたり、体が冷えて血行が悪くなったりしてマグネシウムが不足すると、筋肉が弛緩しにくくなるため「こむら返り」を発症する。
日常生活の中でいくつかのポイントを押さえることで予防は可能だ。
まずは「こまめな水分補給」。特に、夜中に発症しやすい人は、就寝前に水分補給をしておくことが必要である。睡眠中は、コップ1~2杯分の汗をかくため、知らぬ間に脱水気味になっていることがあるからだ。
次に「重い掛け布団を使わない」ことが対策として挙げられる。重い掛け布団をかけて仰向けに寝ると、その重みで足首が伸ばされた状態になり、ふくらはぎの筋肉が縮んだままになることで、こむら返りを誘発しやすくなるのだ。他にも、「湯船に浸かる」「ストレッチをする」方法もある。
通常の「こむら返り」は、医療機関での治療は必要ないケースが多いが、頻繁に発症する場合は、糖尿病や肝硬変など、別の疾患が潜んでいる可能性もある。早めの医師の受診が必要だろう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。