駅のホームや構内で店を構える「駅そば」の存続は、当然ながら駅の動向に大きく左右される。北の玄関口であるJR上野駅には3階に「喜多そば」という大衆的な名店があり、多くの客に愛されてきたが、駅構内のリニューアルにより2010年に閉店した。
だが、駅の建て替えを経てもなお続く店もある。JR小淵沢駅の「丸政」だ。
以前の小淵沢駅は1階建ての小さな駅舎で、駅弁を売る店と小さな駅そばがあるだけ。その駅そば店が丸政だった。
ところが2017年に3階建ての新たな駅舎が完成。「自然資産との共生」をコンセプトにした観光地にふさわしいおしゃれな駅舎で、そこに昔ながらの丸政が再び店を出せるのか鉄道ファンの間で懸念されていた。
鉄道ライターが語る。
「しかし改札横に新たな丸政がオープンし、不安は杞憂に終わりました。名物の『山賊そば』も健在。そばの上に長野県松本市や塩尻市の郷土料理である『山賊焼き』が乗ったそばで、その山賊焼きは鶏もも肉をにんにくしょうゆダレに漬け込み、片栗粉をまぶして揚げてある。ガッツリ濃いめの味付けが絶妙で、そのままカリカリの衣を味わってもいいですし、そばの汁を吸って柔らかくして食べてもいい。そばとの相性は抜群です」
駅のリニューアルとコロナ禍を乗り越えた丸政。一度立ち寄ってみてはいかがだろうか。