夏の疲れが一気に押し寄せる残暑の時期に気をつけたいのが「胃バテ」だ。
「胃バテ」とは、食欲不振や胃もたれ、胃痛など胃の機能が低下する症状で、だるさや倦怠感を引き起こすケースもある。
原因は様々だ。まずは冷たい食事の取りすぎだ。アイスや清涼飲料水など体を冷やすものばかり食べていると、胃腸が冷えて胃もたれを発症してしまうのだ。「スタミナをつけよう」と、過剰にこってりしたものを食べることも、弱った胃腸には負荷をかけてしまう。
冷房も要因だ。エアコンがよく効いた室内と屋外では大きな温度差を生じて体温調節を行う自律神経が乱れてしまう。自律神経のバランスが崩れると、胃のぜん動運動の低下や胃粘膜を保護する粘液の分泌の減少につながるのだ。他にも、寝苦しさによる睡眠不足、高温多湿のストレスなども胃の負担になる。
対策は胃腸を冷やしすぎないこと。冷たいものを食べる時は、温かい汁物を取り入れて胃腸の負荷を軽減させたい。また、体を温め、食欲を増進させ、胃腸の働きをよくする効果のある香辛料(刺激が強すぎることもあるので注意が必要)や薬味も積極的に取り入れたいところ。また、お酢や柑橘系の食材は、食欲増進につながり、唾液や胃酸の分泌に効果的だと言われている。
さらに、冷房の効いた屋内では血行の悪化や肩こりなども注意したい。これは、羽織るものを着用することで体の冷えをカバーすることができる。
胃の機能の低下は逆流性食道炎など他の疾患につながる危険もある。生活習慣を見直しても改善しない場合は、消化器内科や胃腸内科など医療機関の受診が必要だ。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。