新入社員の給料がベテラン40代50代の給料を上回る「逆転現象」が、社会問題になっている。それでも自分より高給をもらっている若者に、昼食や飲み代を奢らねばならない。中間管理職の悲哀だ。
だがメジャーリーグとなると、話は別。ドジャース野手の最年長、36歳のミゲル・ロハスが、キャンプ地アリゾナの自身の行きつけの和食店で、大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希、金慧成や大谷の通訳ウィル氏らを誘い、寿司パーティーを開いたと、記者団に明かしたのだ。
昨年はムーキー・ベッツの死球骨折後、遊撃を守っていたロハス。チームリーダー的存在として、4年ぶり8度目のワールドシリーズ制覇に貢献したと評価され、今季年俸500万ドル(約7億5000万円)で契約した。ベッツが復帰し、あるいはエドマンの活躍により、年齢的に最後のド軍キャンプになるかもしれない。
そんなベテランが特に気にかけているのは、14歳下の佐々木だ。
「ロウキはとても若い。まるで小さな子供のようだ。だから世話をしてあげたいんだ。もちろん翔平や山本が世話をするだろうけど。自分も違う国(ベネズエラ)から来たから、違う国からやって来た選手にはできるだけ親切にしたいんだよ。早く慣れてほしいし、慣れたらロウキもキムもいいパフォーマンスができるようになるよ」
この夜の寿司パーティー代金はロハスが全額払ったそうで、
「俺がみんなを誘ったから。翔平が『払いたい』と言ったけど『ここは俺が払うから』と言って払ったんだ」
10年7億ドル契約の大谷に、寿司をふるまったのである。
佐々木はロサンゼルスの山火事に続き、故郷の岩手県大船渡市も史上最悪の山火事に見舞われている。2011年の東日本大震災で大船渡市の海側は津波被害で壊滅、被災者は山側に移り住んで生活を再建していた。
野球だけに集中できる心境ではないだろうが、ロハスの気遣いと故郷の声援に応えるためにも、佐々木はド軍ベンチ入り15人枠に残らねばならない。
(那須優子)