健康雑誌でもよく取り上げられる「豆類ダイエット」。タレントの実体験がレポートされてブームにもなったりする。医学的効果を疑問視する向きもあるなか、海の向こうから舞い込んできたニュースが話題になっている。
発端は「The American Journal of Clinical Nutrition」に掲載された記事だ。カナダ・トロントのSt. Michael’s hospitalで940人の成人について行った臨床試験によれば、他の食品を減らさず、豆類を毎日130グラムほど食べ続けただけで、6週間で体重が340グラム減ったという。この実験を指導したRussell de Souza氏は、誌上でこう述べている。
「今回の実験では体重減少はわずかだったが、食事に豆類を加えるだけで減量に役立ち、減量後のリバウンドも防ぐ可能性がわかった」
食べないダイエットではなく、食べて痩せられることが期待できるというのだから魅力的である。管理栄養士の中川孝子氏も後押しする。
「豆類にはビタミンB1、ビタミンB2が豊富。ビタミンB1には糖質のエネルギー代謝を促す働きがあり、ビタミンB2は脂肪の燃焼を促す。ダイエット効果は高いと思います」
そこで思い出されるのが、一時、大ブームを呼んだ「納豆ダイエット」である。さるテレビ番組の「ヤラセ疑惑」でブームは消えたが、効果も消えたわけではない。食文化研究家で西武文理大学講師の永山久夫氏が解説する。
「わが国では古来より、大豆は100歳食、食べる薬とも言われてきました。みずほの国の食文化の基本は、米と大豆と季節ごとのありあわせ料理。この食事は太らないばかりか、成人病も防ぎます。納豆に含まれるナットウキナーゼは血栓を溶かし、血液サラサラ効果を持つので、代謝アップに繋がります。代謝が上がることで、脂肪燃焼を活発化させる。ご飯と納豆は理想的なダイエット食なのです」
元来、日本人の食生活に豆類は欠かせなかったのだが、今や正月のおせちからも黒豆が消えかかっている。これを機に、豆を見直してみてはどうか。
(谷川渓)