社会

秋津壽男“どっち?”の健康学「環境の変化で体重が大きく増減…。急激な5キロ以上の減少は要注意を」

20170216e

 先日、移動中のタクシーの車内で、運転手さんと会話が弾みました。「ホテルを辞めてドライバーになり、3カ月たつ」そうですが、仕事が楽しくてしかたないとのこと。「座りっぱなしなので3キロ太りました」と笑っていました。

 タクシー運転手という仕事は「運転が好き」「人と接することが好き」な人には向いているとのことで、「私には合っています」と、うれしそうでした。

 また「この仕事が合う人は太りますが、合わない人は痩せるんです」とも語っていましたが、ここで問題です。

 環境の変化で、急に太るのと急に痩せるのとでは、どちらが健康面で危険でしょうか。

 まず太った場合、仕事が楽しくて居心地がよく、結果メタボになって心臓病のリスクを抱えることが懸念されます。一方、痩せた場合はストレスが原因で、忙しすぎる・気を遣いすぎるなどから胃腸の調子が悪くなり、悪くすると胃潰瘍を患ったり胃ガンを抱えるかもしれません。

 太ると脳梗塞や心筋梗塞、痩せるとガンのリスクが高まりますので、どちらも怖いのが正直なところです。

 ただし、転職直後は環境や生活習慣が変わるため、痩せるのは誰でもあること。1年2年と時間がたつにつれ痩せ細っていくようだと心配ですが、新たな環境に順応するとともに元に戻るなら正常の体重変化。正しい適応反応です。

 逆に太った人は、その先どんどん太る可能性があり、健康を害し続ける危険性がありますので「太るほうがより危険」だと思います。

 よく「ストレスから食べすぎて太った」という人がいます。これは「俺だけどうしてこんなに仕事が多いんだ」「やってもやっても終わらない」などと、不安やジレンマをごまかそうとする行為。つまり脳が感じたストレスを食べることでごまかすわけですが、こうした太り方は「ストレスが増える」「体重も増える」で、心身ともに悪影響です。

 痩せるのはある程度で止まるものの、太るのは歯止めが利かなくなる危険性すらあります。

 数字で考えると、1~2キロ痩せるのは大丈夫ですが5キロを超えると黄信号。胃潰瘍や胃ガンのリスクを心配してください。逆に太る場合5キロぐらいはザラですが、7~8キロから10キロと太るにつれて脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。

 ストレスで痩せた場合、大便の色を注視してください。胃ガンや胃潰瘍、十二指腸潰瘍になると真っ黒な便が出てきます。イカスミのようなうんちが出たら胃の病気ですので、すぐさま病院へ行くこと。これは「嘔吐して血を吐いた」「血痰が出た」と同じぐらい、怖い症状です。

 ストレスという点で考えると、神経質な人は転職後や環境の変化で痩せることが多いようです。上司や周囲との人間関係に必要以上に過敏になり、考えなくてもいいことで悩んでしまう結果、食が進まずに痩せる、というケースが見られます。人間関係という視点で考えると、自分が悩むほど相手は気にしていないことも多いので、必要以上に気を遣いすぎないことです。

 冒頭の運転手さんは、

「私は人間関係で嫌なことがあり、タクシーに転職しました。この仕事、車庫を出てしまえば一人で、ましてやお客さんは一見さんです。人間関係で悩むことはほとんどありません。普通の職場は上司に気を遣いますが、タクシー業界ですと“あのバカヤロウ”などとドライバーたちは上司の悪口で盛り上がっています」

 と笑っていました。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
エスコンフィールドに「駐車場確保が無理すぎる」新たな問題発覚!試合以外のイベントでも恨み節
3
【高校野球】全国制覇直後に解任された習志野高校監督の「口の悪さ」/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」
4
これも「ラヴィット!」効果…TBS田村真子アナ「中日×巨人で始球式」に続く「次に登板するアナウンサー」
5
日本人に大打撃!タイ政府「外国人締め出し」で長期滞在とビザ取得が困難に…そして口座凍結まで