社会

“過労死”女性従業員遺族が「ワタミ渡邉会長を号泣告発」(1)遺族の心情を逆なでした弔電

「10年後に所得150万円アップ」。そんな掛け声にダマされてはいけない。参院選を前に「クビ切り自由化」法案は引っ込めたが、安倍総理は諦めていない。何せ目玉候補として「ブラック企業」批判を受ける経営者を担ぎ出したのだから。今回はその企業に“殺された”従業員遺族の悲痛の声をお伝えする。

 6月5日に発表された成長戦略第3弾には「サラリーマンクビ切り自由化」法案が顔を出すことはなかった。当然、安倍晋三総理(58)の頭の中には今夏に迫った参院選があったはずだ。解雇を金で解決できる規制緩和策を言いだせば、票を逃すことになりかねない。

 しかし、「雇用の流動化」というサラリーマンを切り捨てる政策を捨てたわけではない。それは、安倍自民が“目玉候補”として擁立した人物を見れば明らかだ。

 5月31日、自民党本部での会見に現れた“目玉候補”が掲げたキャッチフレーズは「経営力で強い日本を取り戻す」だった。

 その公認候補者とは、「和民」などの居酒屋チェーンを展開するワタミ株式会社会長の渡邉美樹氏(53)だ。

「ゼロから会社を立ち上げた経験を生かしたい」「若者が夢を持てる社会を作る」

 こう会見で話した渡邉氏の国政への意欲を、そらぞらしく聞いた人もいる。

「渡邉氏が国会議員になるなんてとんでもない。彼はウソつきで、きれい事を言うがごまかされてはいけない。内実は誠実さのない、冷酷非情な人間だと思います。ワタミに遵法精神はなく、労働基準法や労働契約法や労働安全衛生法を守らずに、利益のみを追求し、私たちの娘を含め若者を食い物にしてきたのです」

 こう話すのは、夢を抱いてワタミに入社しながら、過労自死に追い込まれた女性社員・森美菜さん(当時26歳)の遺族である。

 森さんの死はワタミを「ブラック企業」と世間に印象づけるきっかけとなった。昨年、有識者らが主催した「ブラック企業大賞」で、ネット投票1位の「市民賞」まで授与されるほど、「ワタミ=ブラック企業」という評判は定着している。

 それでも、遺族にとっては、森さんが墜落死した08年6月12日以降、時間は止まったままなのだ。

 死の晩に、森さんが立っていた高層マンションの踊り場には、白い傘が置かれていたが遺書はなかった。真相がわからないまま迎えた葬儀の日、遺族のもとに渡邉氏から弔電が届く。

〈美菜様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。美菜様の心の病みを察知できなかったことは、忸じく怩じたる思いです。どうか安らかにお休み下さい〉

 この弔電を手にした遺族は怒りに打ち震えた。森さんの母には、この文面をしばらく伏せておくほどだったという。

 森さんの遺族が言う。

「たとえ自殺であっても『心の病み』などという言葉は使わない。ましてや、警察も死因を断定していない段階で、渡邉氏は勝手に『心の病み』と、個人的な問題ときめつけた。会社の責任がまるでないような弔電を弔問客を前に『読め』と言ってきたのです」

カテゴリー: 社会   タグ: , , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<中年太り>神経細胞のアンテナが縮むことが原因!?

    加齢に伴い気になるのが「中年太り(加齢性肥満)」。基礎代謝の低下で、体脂肪が蓄積されやすくなるのだ。高血圧や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に結びつく可能性も高くなるため注意が必要だ。最近、この中年太りのメカニズムを名古屋大学などの研究グル…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<巻き爪>乾燥による爪の変形で歩行困難になる恐れも

    爪は健康状態を示すバロメーターでもある。爪に横線が入っている、爪の表面の凹凸が目立つようになった─。特に乾燥した冬の時期は爪のトラブルに注意が必要だ。爪の約90%の成分はケラチン。これは細胞骨格を作るタンパク質だ。他には、10%の水分と脂質…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

注目キーワード

人気記事

1
巨人「田中将大を獲る」阿部慎之助監督が語った「理由」がなんだかおかしくないか
2
「巨人・田中将大」誕生で上原浩治が疑問視する「阿部慎之助×桑田真澄」チーム方針の齟齬
3
番組出演本数が減少の一途…オードリーの影が薄くなった「使い勝手」問題
4
畑山隆則が緊急直言!井上尚弥の対戦相手に「この2人以外は誰とやっても消化試合」
5
九里亜蓮FA流出余波「新井カープは人的補償を使えない」悩ましい理由