いまやプロ野球界でトレードマークにもなっている、マー君こと楽天・田中将大投手の雄たけびガッツポーズが物議を呼んでいる。
日本シリーズ第2戦。6回表の二死満塁、巨人のロペス選手を三振に切って取った瞬間のド派手な回転ガッツポーズだ。スポーツニュースではこの場面を「これぞマー君!」と称賛一色で報じたが、打ち取られたロペスにはそうは映らなかったようだ。
「チャンスがあったらやり返そうと思っていた」と、第6戦での田中から打った起死回生の同点弾を振り返ると同時に、「頭のいい投手だから米国のルーキーイヤーではやらないだろう」と、帰国時に皮肉たっぷりに言い残している。
これに対し田中は「うるさいわ、ボケ!」「お前にやったんじゃないわ」と反論したとか。くしくもポスティング問題に揺れて先行き不透明にはなっているが、当初の予定どおりなら、マー君の来シーズンは鳴り物入りでメジャーデビューのはず。では、はたしてこのまま我が道を行くでいいのか?
「ダメでしょうね。誤解を受けた時点でアウトです。メジャーならあのガッツポーズのあと、もしもバッターボックスに立ったら報復球が来るレベルです」
メジャーで現場取材をするスポーツ紙の記者もこう言って続ける。
「日本ではよく見られる得点差が開いている時の盗塁やバント、かつては新庄選手も注意された打った瞬間のバットの放り投げ、今年の阪神がやっていたホームランが出た時のベンチ前の全員ポーズ、これらは全てメジャーでは侮辱と見なされます。そこには理屈はありません。日本と違い、多民族が入り乱れてやってるわけですから、一種の戦争です。アメリカのような銃社会で“挑発”は死を意味します。田中の言い分はわかりますが、それはあくまで日本人だけでやる“野球”だから。メジャーでは『うるさいわ、ボケ!』は絶対に通用しませんから要注意ですね」
しかし、田中のガッツポーズや雄たけびは駒大苫小牧時代から染み付いている投球のリズムでもある。はたして、アメリカでそのリズムをコントロールできるのだろうか。
「しなきゃダメなんです。もしも、入札最有力とされているニューヨーク・ヤンキースにでも入団したら、GMやコーチに真っ先に注意されるんじゃないですか。あそこは『選手である前に紳士たれ』がチームの鉄則。メジャーで実績ゼロの投手があの派手なガッツポーズを敵地でしようものなら、何が起こっても責任は持てません」(前出・記者)
日本中の期待が集まるマー君の投球で球場が大乱闘なんて光景は確かに見たくない。とはいえ、あのガッツポーズが見られなくなるのも寂しい気もするが‥‥。