テリー 立憲への不信という話で言えば、鳩山(由紀夫)さんが総理になった時に「沖縄から米軍基地をなくす」とカッコいいことを言ったわりに結局何もできなかったじゃないですか。あの不信感も、国民の中には残っている気がするんです。だから立憲の言っていることは、「なるほど」と思う部分もある一方で、現実問題として「ちょっときれいごとすぎないか?」とも思えちゃうんですよね。
枝野 その件に関しては、当時、私は広い意味での当事者でしたから、身に染みています。ですから、「できるという裏付けがないことを言ってはいけない」という教訓になっています。やはり、確証のないことを無責任に宣言すべきではないですよね。
テリー 実際、基地問題はどうするんですか?
枝野 もちろん、我々が政権を取ったら「やめます」と明言したいですけど、言えません。なぜなら、これはアメリカ政府も関わる話ですから。我々が政権を取ったタイミングで、アメリカの政権がイケイケドンドンのタカ派であれば、それはやはり難しいですよ。
テリー じゃあ、これも明言するのは難しいと思いますが、何年ぐらいを目標に政権奪取したいですか?
枝野 これは「できるだけ早く」ですね。「一寸先は闇」と言いますけど、本当に政治の世界は何が起こるかわからないですから。
テリー 今、森友・加計の問題で野党が政権を攻めているところですけれど、国民からは「野党はいつも文句を言っているだけ」にしか見えない。でも、政治って本当は「この国は、こういう方向へ進んでいくんだ」という“夢”を見させてくれるものだと思うんです。それで言うと、立憲はどんな夢を見せてくれようとしているんですか?
枝野 もちろん我々は与党に文句を言っているだけじゃなくて、いろいろな提案をしています。例えば、公文書の改竄問題を踏まえて公文書管理法の改正案を提出していますし、この前も自民党の生活保護についての法案に対し、こちらはかつて生活保護で助けられた経験を持つ国会議員2人が、本会議の檀上で対案を出しました。でも、こういうことって全然伝わっていないでしょう? だから、こちらも伝え方を変えていかないといけないですね。
テリー 具体的には?
枝野 幸いなことに、前の選挙でSNSが有効なツールになることが、ある程度、認識できたんですよ。例えば、SNSで「野党は批判ばっかりでけしからん」みたいな書き込みがあると、私は「いや、何でも反対じゃなくて、今日の本会議で可決された法案はうちも全部賛成ですよ」みたいな感じで引用リツイートをするんですよ。
テリー ああ、そういう形で党の方針を拡散していくわけですか。
枝野 はい、仕事として当たり前のことをやっているという意識でしたから、我々も伝える努力を怠っていた部分もあります。それを今、一生懸命やっているところです。そういうことを繰り返し言い続けることはやはり大事で、少しずつではありますが、党内の雰囲気も変わってきていますね。
テリー それを伝えないマスコミにも責任はありますかね。
枝野 当分成立する見通しがない法案について「あまり取り上げる価値がない」とマスコミが判断するのは、しかたないと思います。それこそ、我々がビラなんかできちんと告知するべきことですし、実際、地元では「安倍さんは、けしからん!」ではなく「我々はこういうことを実現します」という話をしていますので。