いったい何が目的なんや、これは!? と、虎ファンが首をひねる不可解補強に突っ走る阪神タイガース。まさか、これで今季巨人から食らった31.5ゲーム差を詰めるつもりとでも? そらアカン。詰めるどころか、もっとヒドイ事態になりまっせ、ホンマに‥‥。
今シーズン、まさに往年のダメ虎を思い出させる戦いっぷりを見せた阪神タイガース。新井貴浩(35)らベテラン勢の失速に加え、鳥谷敬(31)や平野恵一(33)など中堅どころの不振が続き、チーム打率はここ10年でワーストの2割3分台だった。本塁打にいたっては58本と、今年のホームラン王であるヤクルト・バレンティンの2人分にも届いていない。結果、宿敵巨人に31・5ゲームも離されての5位。ライバルの背中すら見えない体たらくだった。
来季こそはとリベンジを誓うそのやさき、中村勝広GM(63)がファンを驚きアキレさせるFA補強を行った。前ツインズの西岡剛(28)を、古巣ロッテなどとの争奪戦の末に獲得したのである。
確かに西岡といえば、ロッテ時代に首位打者と2度の盗塁王にも輝いたことがある好選手であり、地元・大阪桐蔭高校出身という経歴もある。ただ、今年のメジャーでの出場試合はたった3試合。それも12打席無安打、2失策と、かつての姿は見る影もない。いわばお払い箱になり帰国した選手である。これには阪神OBの安達智次郎氏もアキレ顔だ。
「西岡君はメジャーで結果が出なかったから日本に戻ってきた。要するに、活躍できるかどうかわからない。その選手に2年6億円というのは明らかに高すぎる。球団は本来、その選手の成績に見合った額を提示するべきですよ」
この補強に、阪神担当記者は次のように語る。
「西岡の阪神入りは今年の夏前ぐらいから噂がありました。西岡の代理人が阪神側にアプローチをかけているというものです。阪神としても、FA宣言した鳥谷が抜けた場合を想定して動いた経緯があります」
だが、鳥谷は残留。先の安達氏は、フロントの金遣いの荒さについても苦言を呈する。
「昔の阪神はお金がなかったが、今は違う。よくも悪くも、阪神は戦力をお金で買える球団になってしまった。以前のようにチームに頼るのではなく、他球団、それも個々の能力に頼ろうとしている」
事実、今季は金本知憲、城島健司、小林宏、ブラゼルら高給選手が引退や解雇で退団。
「資金が余ってしまったので、補強に走っているだけです」(球団関係者)
西岡入団の問題点は、活躍が怪しいだけでなく、ポジションがかぶる上本博紀(26)や大和(25)という伸び盛りの若手、さらに勝負強い関本賢太郎(34)といった生え抜きがハジき出されることにもある。上本は今季、不調の平野に代わって1番二塁で起用された注目株。大和も今年は自己最多の128試合に出場し、レギュラーに定着しつつある。それが西岡重用で、やっと出てきた若い芽を潰しかねないのだ。
「西岡は二塁に置くでしょう。今年もそうでしたが、監督やコーチ陣は、その選手の最もよかった成績の数字と金額を見てスタメンを組んでいる。そうなれば、まだまだ若手の上本が勝てないのは当たり前。だが、西岡も全盛期の活躍は見込めないでしょうから、また今年と同じ結果になる可能性は高い。給料順でメンバーを組めば、間違いなく負けますよ」(前出・球団関係者)