「KKコンビ」はある意味、やはり通じ合っているのか。桑田真澄氏(45)も清原氏同様、現場復帰をもくろんでとんだ失態を犯し、古巣から絶縁を言い渡されていたのだった。
「今シーズン、球界関係者を介して最初に『監督をやりたい』と売り込んだ先は楽天でした。何しろ、もし優勝しても星野仙一監督(66)は契約満了との理由で勇退する、との情報が流れていましたから」
こう明かすのは、スポーツ紙遊軍記者である。
「ところが予想外の快進撃で、いつの間にか星野監督の去就はペンディングとなり、桑田氏は宙に浮いた」
時を同じくして、桑田氏は、成績しだいで中畑清監督(59)のクビが寒くなりそうだったDeNAにも売り込みをかけていたのだという。遊軍記者がさらに続ける。
「つまり、監督が交代しそうな球団に狙いをつけたわけですね。恐らく、古巣・巨人の監督になる目はあまりないだろうと察知してのことでしょう」
その理由を、読売グループ関係者が解説する。
「原辰徳監督(55)がまだ指揮を執っているというのに、『監督をやらせてほしい』と、チョロチョロ動いたんですよ。時には『原さんじゃダメですよ』と悪口めいたことも言いながら、最高権力者たる渡辺恒雄球団会長(87)に面会し、取り入ろうとした。それで渡辺会長は『こいつは信用できんなぁ』と敬遠するようになったんです」
そんな折、中日内部ではポスト高木を巡る論議が始まっていたが、白井オーナー一派とは別のグループの球団幹部から、「桑田監督がいいのではないか」との声が上がったのだという。中日グループ関係者が声を潜めて明かす。
「夏頃からですね、桑田氏の名前が飛び交い始めたのは。『桑田監督、立浪ヘッドコーチ』という案です。そうした話を耳にした桑田氏が、これ幸いとアプローチをかけた、ということだと思いますね。だって中日と桑田氏の接点なんて、まったくないわけですから。ただ、その立案者には人事権はないうえ、そうした動きを知った白井オーナーが一時、『もう誰の名前も持ってくるな』と怒った。だって立浪ヘッドということは、桑田監督の後継者としての道筋がつくということでしょう。立浪氏の素行を問題視する白井オーナーが不快感を示すのも無理はない」
この中日売り込みは、やがて渡辺会長の知るところとなる。そして烈火のごとく怒った──。
「今後、絶対に巨人の首脳にはさせん。巨人には出入り禁止だ!」
巨人フロント関係者が言う。
「ナベツネさんは桑田に直接、そう通告したそうです。そもそも、ナベツネさんは今、『松井秀喜監督』擁立にご執心。さらにその後継は高橋由伸、阿部慎之助という青写真を描いている」
桑田氏が働きかけたのがよりによって中日だったのがまずかった、との指摘も。
「楽天やDeNAだけなら大した話にはならなかった。読売新聞と中日新聞には部数拡大戦争があり、読売は中日が圧倒的な力を誇る東海地区に何度も挑んではじき返されている。しかし、また勝負を仕掛けたい渡辺会長にとって、東海地区での拡充を足がかりに、久しく1000万部を割っている部数を回復させることは悲願。それに水を差す行為は絶対に許されないのです」
かくして桑田氏は渡辺会長の逆鱗に触れ、巨人から絶縁、追放宣告を受けてしまったというしだい──。