時に笑顔を見せながら、過去を振り返る高相氏だが、酒井との離婚後の生活を語り始めると、とたんに表情が引き締まった。
それは薬物依存との戦いの日々であるからだ。
── 何度か薬物使用疑惑が報じられました。例えば、「FLASH」(10年3月30日号)では、青山の路上で白い粉を受け取る写真が掲載されているが‥‥。
「あれは、ハメられたというのか‥‥。もちろん週刊誌にハメられたのではなくて、他の誰かが意図的に自分を誘う状況を作って、それが写真を撮られることにつながってしまった。路地裏に連れて行かれた時に、明らかにハメられたと気づいて、直後に白い粉は捨てました。ただ、受け取ったのは事実であって、自分の意志の弱さを痛感しました。それで、ダルクに行く決意をしたんです」
この「ダルク」とは薬物依存症更生施設で、現在はASKAや田代まさしが入所していることでも知られている。
── そのダルクでは、どんな生活を?
「1年6カ月間、入所していました。基本的には毎日3回のミーティングがあって、仲間たちとドラッグ体験を語り合い、どうすればやめられるのか、テーマに沿って話すんです。基本的にはクスリなしで生活するつらさを分かち合う場所でした。門限は23時で外出は自由、1日2000円の小遣いをもらって、それで生活します。ただし、酒とギャンブル、それにオンナは厳禁でした」
── ということは、1年半は自分で処理するだけ?
「それは禁止されていないけど、相部屋で生活しているから、なかなかできるものじゃないですよ」
── でも、結果的にはやめれらなかったんですよね。12年6月に麻薬取締法違反で逮捕されている。原因となったAMTという薬物は危険ドラッグでしょう?
「当時は合法ドラッグって呼ばれていて‥‥。最初の逮捕で知り合って相談に乗ってくれる刑事さんがいて、『違法と合法では大きく違う』と聞いて、単純に違法じゃないから大丈夫だろうと考えてしまい、合法ドラッグを使ってしまったんです。AMTもネットで注文したあとで規制されていたことを知って、キャンセルしたんですが、商品が届いてしまって‥‥。3週間後に処分保留になりました。ただ、違法薬物を使用していた時にはなかったのに、合法ドラッグでは妄想症状が出たんです。刑事さんなんかいないのに、実家で『今、階下に刑事さんが来ているだろう』と勘ぐることがあって、診察を受けることにしたんです」
高相氏は3カ月間、閉鎖病棟に入院することになる。ところが、退院後の高相氏を待ち受けていたのは就職難だった。
「新宿のマンガ喫茶に泊まって職探しをしたけど、ことごとく不採用。本当に切羽詰まって、あっち系の男優になってやろうかと思いついて、いきなりメーカーに電話したんですけど、さすがに子供もいるのにマズイよなと思い直したり‥‥。最終的には、金もなくなって新宿のキャッチのオジサンに缶コーヒーをオゴってもらうまでになっていました。そんな時、入院仲間から千葉の合法ドラッグの店員にならないかと話をもらい、飛びついたんです」