もはや「サイドスロー転向」に活路を見出すしかないのか。メジャー昇格を目指し、マリナーズ傘下3Aのタコマ・レイニアーズで奮闘中の藤浪晋太郎が、またしても大乱調である。
現地時間4月12日には今季6度目のリリーフ登板となったが、3四球と制球を乱して5失点だった。
7-1で迎えた7回に3番手として登板し、先頭打者を2球で追い込んだが、その後は4球連続ボールで四球。続く打者にはスプリットを弾き返されて一・二塁のピンチを招いた。3人目からは空振り三振を奪ったが、続く打者には153キロのフォーシームを打たれて失点。ここから2者連続で四球を与え、なんと6人目の打者は3ボール1ストライクからピッチクロック違反、タイムバイオレーションで押し出しとなり、降板した。防御率は10.13と大幅に悪化している。
最近4試合は変化球主体の配球に変え、連続無失点で防御率1.80と安定した結果を残していたが、やはり付け焼き刃は通じなかったようだ。メジャーリーグを取材するスポーツライターが分析する。
「前回の登板では1イニングを投げて1四球1奪三振で無失点という内容でしたが、その配球には驚かされました。MLB公式サイトでは、22球を投げてフォーシームはわずか2球。スイーパーは3球で、スプリットがなんと17球でした。変化球投手にモデルチェンジしたのかと思いましたよ。自慢のフォーシーム封印はもったいない気がしますが、抑えてナンボ。ところがそのモデルチャンジも、わずか1試合で化けの皮が剥がれた感じです。この試合で多投したスプリットは明らかなボールばかりで、打者は振ってくれない。これでは八方塞がりです」
そんな藤浪の現状に、日本の球界OBからはこんな指摘が。
「ここらでじっくりとフォーム改造に取り組んだ方がいい。元々、手が横から出る感じであの身長を生かした投げ方をしていない。オーソドックスなオーバースローが理想かもしれないが、それなら無理なら、巨人で大成功した斎藤雅樹のように、本格的なサイドスローに転向するのも手。このままではメジャー昇格どころか、野球人生も終わりかねない。根本を変える何かをしないと」
前出のスポーツライターも言う。
「確かに米球界で生き残るために、特徴があった方がいい。あの長い手が完全に真横から出てくれば、打ちにくいだろうし」
4月12日は藤浪の31回目の誕生日だった。ほろ苦い一日になったが、これが「新生・藤浪」誕生のきっかけにならないものか。
(阿部勝彦)