国内ジム所属の現役世界王者が11人に達するなど、久々に盛り上がりを見せる日本ボクシング界。そんななか、国内試合から締め出されている元世界3階級王者の亀田興毅が苦境に立たされている。
7月末に米国で予定されていたWBA世界スーパーフライ級王者・河野公平とのタイトルマッチが、河野の肋骨骨折により無期延期に。土壇場でとんだ肩すかしを食らう格好となった。
「表向きは『治るまで待つ。河野が休んでいる間も俺は練習してもっと強くなる』と前向きな発言をしていましたが、これまでにないほど落胆しているようです」(ボクシング専門誌編集者)
亀田が最後にリングに立ったのは、昨年11月に米国・シカゴで戦った10回戦の1試合のみ。3兄弟の末っ子である当時のWBO世界バンタム級王者・和毅の防衛戦の“前座の前座”という位置づけで、客の入りも芳しくなかったという。
「地元プロモーターも元3階級王者としての扱いはせず、入場テーマ曲もかけてもらえず、ファイトマネーもたったの170万円。あの金額では渡航費や合宿費を差し引くと採算は取れなかったでしょう」(前出・専門誌編集者)
こんな状況に焦りを感じたのか、今年1月には自身のブログに次のように心情を吐露している。
〈自分はボクシングが好きだと思った事が無いし、稼げないのならボクシングをやる意味がないと思っていた。(中略)17歳でデビューした時、俺にもその時が来るなんか考えもせえへんかったけど、もう近くにきてる〉
この記述に「興毅がついに引退か!?」と、ファンやアンチを巻き込んで話題となった。亀田3兄弟が国内で試合をできなくなったきっかけは、13年12月に行われた次男・大毅の当時保持していたIBF世界スーパーフライ級王座をめぐるJBC(日本ボクシングコミッション)とのいざこざだったが、どんな時も一家で命運を共にする亀田家だけに、長男の興毅にもその火の粉が降りかかった形だ。
JBCではもはや“幻の一家”扱いで、三男・和毅の防衛戦ですらいっさいテレビ中継がされていない。
「日本国内での試合にこだわってきた興毅が、興行的にも儲からない米国で河野とのタイトル戦を了承したのは、日本人王者に勝ってアンチを黙らせ、日本人初の4階級制覇を達成すれば、自分や弟たちの日本復帰の道筋ができると踏んでのことでしょう。しかし30歳近い年齢、ここ2年間で1試合しかしていないブランクを考えると、今回の延期で事実上の引導を渡されたといっても言い過ぎではないででしょうね」(スポーツライター)
ついに亀田興毅の引退カウントダウンが始まった。
(金子良太)