ついに日本制圧にも乗り出した“ナニワの独裁者”。幕末の志士になぞらえた「船中八策」なる国政公約は、デタラメ政策がめじろ押し。さらに、反乱分子の労組潰しにも容赦ナシ。これはもう最敬礼するしかないだろう。もちろん、「バンザイ」ではなく、「お手上げ」という意味だが‥‥。
地域政党「大阪維新の会」がブチ上げた維新版「船中八策」。次期衆院選に向けての公約である。大阪から国政に殴り込みをかけようという心意気はいいのだが、“血”を流すのは既成政党のセンセイ方だけじゃなく、国民も同じだった。
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「国民にイヤなことばかりだ。ただ、これをやり切れば、日本はもう一度、リンゴがフサフサになる」
2月14日、橋下徹大阪市長(42)は、「船中八策」を公表し、自信満々に記者団にこうコメントした。
1カ月半という短期間で練り上げた公約。しかも、叩き台だというが、最初から「国民にイヤなこと」とは、将来が思いやられてくるではないか。
その公約の柱となるのは、次の8項目だ。「統治機構の再構築」「行財政改革」「教育改革」「公務員制度改革」「社会保障制度改革」「経済政策」「外交・安全保障」「憲法改正」。何だか耳ざわりのいい言葉が並ぶ。
しかし、徐々に具体的な政策の内容が漏れ伝わってきている。
中でも、ギョーテンだったのが、「資産課税の強化」である。資産なんて持っていないと思って、安心してはいけない。橋下氏は朝日新聞のインタビューに答えて、こう言っている。
「『ためていたら税金かけますよ』と、強制的にお金を使ってもらう仕組み作りも行政の仕事だ」
つまり、庶民が爪に火をともすようにして蓄えた貯金を税金として奪うということだ。言うなれば「貯金税」。それが「イヤ」なら、使ってしまいなさいということでもあるらしい。
経済部記者が言う。
「エコノミストの間で、富の世代間格差を埋め、富の再分配が期待できるのではと『富裕税』とともに話題になっている『貯蓄税』のことです。文字どおり、預貯金に課税する仕組みです。ただ、この低金利のまま、実施したところで、大きな成果があるとは思えません」
どんなに利率が低くても、利子がつけばうれしくなるのが庶民の感情だ。だが、その利子にも課税はされている。税率は20%。通帳に800円の利子がついていたら、すでに200円の利子を税金として差し引かれているのだ。なのに、利子にも元本にも課税されたら、貯金が目減りするどころかたちまち生活費が行き詰まってしまう。そんなデタラメが許されるのか。
「当然、そんなに税金を取られるなら、タンス預金に切り替える人が現れるでしょう。すると、銀行から一斉に預金が下ろされる。銀行は不況で貸付先がなく、国債を買っている状態ですから、国債は暴落してしまう可能性もあります」(前出・経済部記者)
これでは日本改革どころか、日本大混乱になってしまうのではないか。