桂三木助は自宅のベランダで首をつっていた。遊び人のイメージもあった三木助だが、大胆さと繊細さを併せ持っていたという。
「亡くなる前から『言動が変だな』と噂になっていて、自ら命を絶った結果にも『やっぱりね』との声が上がっていた。当時は、うつ病のような精神疾患に対してオープンではなかったから、病院にかかることもありませんでしたが、今思えば、うつ病のような症状だったんです。それでも、そうした知識がない周囲は三木助さんを叱咤激励していた。対応が違っていたら、はたして‥‥」(演芸関係者)
裕福な家庭で生まれた三木助に金銭的な悩みはなかったようだが、ポール牧の場合はどうか。
一時は指パッチンで再ブレイクしただけでなく、僧侶という別の顔もあったおかげで大儲けしていたというのだが‥‥。
「僧侶としての講演活動が大きな収入源となっていたんです。1回50万~60万円だったようで、年収が1億円はありましたね。ところが、2000年にホテルでパワーヒーリングと称してホステスにセクハラをしたという疑惑が報じられてから、講演の仕事が激減してしまったんです」(お笑い関係者)
ポールが自宅マンションから飛び降りる半年ほど前に、合コンで同席したという知人が語る。
「元気づけようと思って、若い女性たちがいる席に呼んだのですが、当時はイライラしていました。指パッチンを何度もせがまれて披露はしていましたが、師匠は『僧侶』以外に『喜劇役者』という肩書を重んじているため、芸人として小バカにされるのが耐えられないんです。最後は先に会計を済ませて出て行ってしまいました。かつて聞いた『喜劇の究極は悲劇なんだ』という言葉が忘れられません」
新潟青陵大学大学院教授・碓井真史氏が一般論としてこう語る。
「有名人といえども、一般の方と同じように、うつ病や介護疲れが自殺原因となる場合はあると思います。特に、芸能界ならではの自殺要因といえば、成功後に人気が落ちた時の収入や評価の大きな落差に戸惑ってしまう。たとえ豪邸から小さなアパートに住むことになっても、アルバイトで食べていくことだってできる。ところが、世間に顔が知られた有名人の場合はそれに耐えられないことも多いでしょう。
一般の方でも、経済苦の自殺はありますが、苦しい中でも生真面目にローンを払い続けようとするような人がそうなりやすい。自己破産したり生活保護を受けたりとジタバタするような人なら自殺という考えにたどりつかないケースがよくあります。有名人にしても、開き直ることで局面は変わるでしょうけどね」
これ以上、有名人の悲痛なニュースが報じられないことを願うばかりである。