社会

東海林のり子“忘れられない猟奇事件”「容疑者にインタビューを試みると…」

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 パラコート入りジュース事件が連続した前年の84年(昭和59年)3月18日には、江崎グリコ社長を誘拐して身代金を要求した事件が発生した。

 午後9時頃、兵庫県西宮市の江崎グリコ社長・江崎勝久氏の実母宅に拳銃と空気銃を構えた2人の男が押し入り、母親を縛って隣家の江崎社長宅の合鍵を奪ったのだ。

 ちなみに、家の外には車の運転手役の男がおり、犯行はこの3人組が実行したとされる。

 男たちはそのまま社長宅の勝手口から侵入、社長夫人と長女を後ろ手に縛ってトイレに閉じ込めた。

 その後、男らは浴室に侵入。長男と次女と入浴中だった社長を銃で脅して、誘拐したのである。夫人はこのあと、自力でテープをほどいて警察に通報した。

「あの頃は類似犯というか、模倣犯が本当に多かった。毒入りジュースもそうですし、江崎グリコ社長誘拐事件が発覚し、グリコを脅迫していたことが明らかになると、企業を相手に製品に毒を入れたなどと脅す事件が相次いだ。この事件は振り回されて、あっちこっち現場を飛んで歩きましたが、江崎社長の豪邸を見て、『あの大きな浴室によく侵入できたな』と驚いたことを覚えています」

 この事件を皮切りに、その後、丸大食品、森永製菓、ハウス食品、不二家、駿河屋など食品企業を次々と脅迫する事件が発生した。しかし、結局、犯人の正体はわからなかったのである。

 埼玉県熊谷市で起きた愛犬家連続殺人事件が発覚したのは95年(平成7年)のことだ。事件のあらましをざっと振り返ってみると──。

 犯人の関根元と元妻の風間博子(ともに死刑囚)は、犬の繁殖や売買を行うペットショップ「アフリカケンネル」の共同経営者。2人は、熊谷市の繁華街にペットショップを構え、郊外に「犬舎」を持っていた。

 そして関根は、相場の10倍、100倍ほどの法外な値段で犬を売りつけるなど詐欺的商売を繰り広げていた。

 ところが、そんな詐欺商法に気づいた客から返金を要求されると、その客を殺害。一方、その行為に気づいて、関根をゆすった暴力団組長代行やその付き人、関根の不倫相手などが次々と犠牲者となった。

 その殺害方法は猟奇的そのもので、トラブルの発生した顧客らを、知り合いの獣医師から譲り受けた犬の殺処分用の硝酸ストリキニーネを用いて毒殺。関根は「ボディを透明にする」と称して遺体を風呂場でバラバラにしたうえ、骨はドラム缶で焼却した。しかも、群馬県内の山林や川に遺棄され、「遺体なき殺人」と呼ばれた。

 東海林氏はその渦中にいる関根をペットショップに直撃した。

「絶対、取材には応じてくれないと思っていたら、2人とも店にいて、関根は『あ、どうも、どうも』と愛想がいい。奥さん(風間)は奥からジュースを出してきてくれたほどです。一瞬、引きましたよ。『これ、飲んで大丈夫か?』って。殺された被害者はドリンクに仕込まれた毒で死亡したって聞いていましたから。そしたら、関根は『心配することないよ』って言うんですよ。よもや、(ペットショップに)入れるとは思っていなかったのに、まさかの対応でした。自信があったんでしょうかね。2人とも平然としていましたよ。あの頃、ペットショップは儲かっていたんでしょうね。相当繁盛しているって感じでした。でも、関根の『小指』は見ないようにしていましたよ」

 関根は愛想のいい反面、猟奇的で怖い物知らず。東海林氏の言う「小指」とは、その筋の関係者を平気で手にかけたり、金銭トラブルを起こしたりしていたため、関根の左の小指は欠損していたのである。

<続きは週刊アサヒ芸能7/30号に掲載>

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