スポンサー企業からの「利益供与疑惑」で批判を浴びた日本テレビの上重聡アナ(35)が、自伝本を出版した。高校球児たちに向かって居丈高に人生論を語りながら、騒動については完全スルーの“偽善”な中身に集まったのは称賛ではなく、失笑だった。
「私のプライベートな交友関係において、個人的なご厚意に甘えたことによりまして、多くの方に疑念を抱かれるような結果になってしまいました。深く深く反省しております」
4月3日、朝の情報番組「スッキリ!!」(日テレ系)の冒頭で、神妙な面持ちで謝罪をした司会の上重アナ。発端となったのは、「週刊文春」の報道だ。靴の大手小売チェーン「ABCマート」創業者の三木正浩氏から1億7000万円を無利子で借り、高級タワーマンションを購入したことが発覚。さらに氏の資産管理会社が所有する高級車ベントレーを借りて乗り回し、日テレの社員就業規則にある「自家用車での通勤禁止」にも違反していたのだ。
報道の中立性が求められる民放の社員が、「利益供与」騒動で謝罪した日から4カ月後──上重アナは著書「怪物と闘ったPLのエース」(竹書房)を出版した。その内容は、高校野球の名門・PL学園のエースとして、98年夏の甲子園で横浜高校の松坂大輔(現・福岡ソフトバンクホークス)と投げ合ったことや、「野球を通して人の道を勉強させていただいた」という人生論が書かれていた。
芸能評論家の肥留間正明氏はこう憤る。
「反省どころか、開き直っている感じがします。イメージアップのために松坂投手の名前まで利用して、下心が見えて不快でしかない。本来なら、利益供与を受けた時点で身を律して、表に出る仕事を辞めるべき人なのですが‥‥」
騒動が起きた直後、日テレには1700件以上のクレームが寄せられた。それでも番組を降板することはなかった上重アナだが、同局の局員はこう話す。
「局内では『降板やむなし』の声が上がりましたが、上層部は守るほうに動きました。“ジジイ殺し”の異名を持つだけあって、入社時から上層部に気に入られていましたから(笑)。ABCマート側からも『上重は降ろさないでくれ』と内々にお願いされていたそうです」
皮一枚のところでクビはつながったようだが、局内での評判はボロボロだとか。
「騒動前は、『いずれフリーになって億稼ぐよ!』と軽口を叩いていたのですが、借りてきた猫のようにおとなしくなりました。マスコミをいまだに警戒して局の裏口から出入りしたり、スタッフに周囲を何度も確認させるなど、大物芸能人ぶりが失笑されています」(前出・日テレ局員)
そんな上重アナを励ましていたのが、「スッキリ!!」でメインキャスターを務める加藤浩次(46)。番組制作スタッフはこう証言する。
「番組内でもたびたび騒動を想像させる発言をして上重アナをイジっていますが、あれは愛情の裏返し。会議では、『気にするな』、『起きちゃったことはしかたがない』と声をかけていました。上重アナは目頭を熱くしていました」
それでも視聴者は許していなかった。加藤が夏休みで不在だった8月3日の平均視聴率は関東地区で5.9%。それまでの前4週の平均視聴率が7.0%であったことから、不評だと突きつけられてしまった。
「スタッフから心配されて、『お祓いしたら』と勧められる始末です。上重アナは苦笑いしていましたが‥‥」(前出・日テレ局員)
自伝本の中では、挫折に直面している球児にこうメッセージを送っている。
〈壁を越えるために必死になって頑張っていれば、誰かが四つんばいになって「俺の上に乗れ」と身体を貸してくれたりして、救ってくれる人も現れるはずだ〉
だが本人は、もっぱら人からの手助けに頼っているようにしか見えない。