「自分が死んだあとも続いているものだと思ってました」
フジテレビ局員は、国民的アニメ「サザエさん」(フジテレビ系)について、こう言って顔を曇らせた。
誤解のないように言っておくと、日曜午後6時30分から放送されている「サザエさん」がいきなり終了するわけではない。ところがそのXデーがジリジリ迫っていると、フジテレビの局員たちは危惧している。その引き金となったのが、8月23日の放送回。8.8%という低視聴率を記録してしまったことで、「ひと桁は『サザエさん』始まって以来のこと」と一気に危機感を募らせたという。
理由はあった。23日は裏で日テレ恒例の「24時間テレビ」の放送中であり、DAIGOのマラソンが非常に盛り上がっていた。しかし、昨年は11%を記録していただけに、今回の落ち込みは顕著だと前出のフジテレビ局員は見ているのだ。さらに、こう続ける。
「じつは『サザエさん』の危機は少し前からささやかれていました。数年前までは世間のどんな状況にも関わらず、確実に20%台を叩き出していたお化け番組。ところがここ1、2年は10%台前半も当たり前という、普通のアニメ番組に落ち着いてしまっていたんです。理由は1つだけではないでしょうが、やはり“磯野家の設定”が限界にきているように思います」
ネットなどでも「サザエさんはもう限界」として、さまざまな書き込みがある。確かに、「世田谷区の7人家族で平屋住まい」「亭主関白」「主婦が和装」「食事がチャブ台」「ブラウン管のテレビ」「黒電話」「酒屋の御用聞き」「子供の人気スポーツが野球」「宿題を忘れたら廊下に立たせる」など、今の子供たちには説明されないと何一つ理解できない異次元設定だらけ。
「かといって、三河屋さんをコンビニに変えたり、テレビをプラズマに変えたり、サザエさんがスマホを持つわけにはいきませんからね。タラちゃんが一人で出かけるのも今なら危ないという声もあるそうです。しかし、それを全て変えたら『サザエさん』ではなくなってしまいますから、限界説が出てくるのもしかたないのかもしれません」(テレビ評論家)
大人たちが「昔はこうだったんだよ」と説明しながら子供たちに見せるのも限界なのだろう。「ドラえもん」にはタイムマシンと四次元ポケットという時代を超越する武器があるが、「サザエさん」には車もLINEもない。フジテレビが誇る国民的長寿番組だが、DAIGOのマラソンによって露呈した人気急落ぶり。これ以上視聴率が落ち続けると、よもやの「打ち切り」が浮上するかもしれない。
(三崎康太)