11月初旬、ソウルで開かれた「日中韓首脳会談」と「日韓首脳会談」。これまでと同様に歴史問題などで“中韓反日共闘”を組み、非難を浴びせてくるかと思いきや、両国は不気味なダンマリを見せるのだった。とはいえ「羊の皮」に隠した「野望」はまだまだ収まりそうもない。その舞台裏を暴く!
去る11月1日、韓国・ソウルの青瓦台(大統領府)で、安倍晋三総理(61)、韓国の朴槿恵大統領(63)、中国の李克強首相(60)による3カ国首脳会談が開催された。
「アンニョンハシムニカ(こんにちは)」
共同記者発表の冒頭、安倍総理が韓国語で挨拶をすると、朴大統領は笑顔を見せる。昨年3月にオランダ・ハーグで開かれた日米韓首脳会談で、安倍総理が韓国語で挨拶をした際には、無愛想のまま視線すら合わせなかったのに──。
韓国の李明博前大統領による島根県・竹島上陸の一方、沖縄県・尖閣諸島を日本が国有化したことで日中韓3カ国の関係は悪化。正式な会談は約3年半ぶりのことだ。会談では中韓が“共闘”して歴史問題などで日本に謝罪を迫ってくると思いきや、得意の強硬姿勢は影を潜めた。李首相が、
「協力は歴史など敏感な問題を善処するうえで成り立つ」
と述べると、朴大統領もこう発言する。
「3カ国が、これまでの貴重な合意精神を顧みることはたいへん意味があることだ。歴史を直視し、未来を志向する精神だ」
それに対して安倍総理が、
「特定の過去ばかりに焦点を当てる姿勢は生産的ではない」
と“口撃”すると、中韓は不気味なダンマリを見せた。中韓がおとなしかった理由について、「中国経済『1100兆円破綻』の衝撃」(講談社+α新書)の著者である近藤大介氏はこう説明する。
「中国は今、『南シナ海問題』で、アメリカの脅威におびえています。戦争になったら勝つのは難しく、アジア全体を味方につけようとしているのです。アジアの中で“敵”である日本と仲よくしたり、(ハノイ市で反中デモが起きる)ベトナムを習近平国家主席(62)が訪問。11月にAPEC(アジア太平洋経済協力)が開かれるフィリピンでも、アキノ大統領と会談する予定です」
中国は国際法を無視して、南シナ海の南沙諸島で人工島を造成。この暴挙に対抗して、10月27日にアメリカは海軍イージス駆逐艦「ラッセン」を人工島の12海里(約22キロ)内に航行させたばかり。この行動を中国外務省の報道官は、
「アメリカの軍艦が勝手に進入し、中国の主権と安全、島に駐在する人や施設の安全を脅かした。重大な政治的挑発だ」
と、威勢よく非難したものの、本音では、軍事的対立に震え上がり、アメリカとの「対話」を求めているようだ。そもそもアメリカが中国を“威嚇”した理由は、9月25日にホワイトハウスで行われた、オバマ大統領(54)と習主席の米中首脳会談にあった。
「オバマ大統領が『南シナ海問題』について懸念を伝えると、習主席は『古来、中国の領土だ!』と主張。その傲慢な態度にオバマ大統領はいらだち、ハリス米太平洋軍司令官に作戦の承認を伝えました」(米在住ジャーナリスト)