今週は東京で「ジャパンC」が行われる。外国馬4頭が参戦予定だが、今年重賞6勝をあげているラブリーデイが人気の中心。また、GI6勝のゴールドシップも秋初戦ということで注目が集まるが、連載陣の印は‥‥。
秋の東京開催。その掉尾を飾るのは、もちろんジャパンカップ。35回目を迎えるが、今年はどんな名勝負が生まれるのだろう。興味は尽きない。
目下9年連続して日本馬が1、2着を独占。国際招待競走と銘打っているだけに、外国勢の活躍が見られなくなって久しいのは少々残念ではある。
欧米競馬先進国は凱旋門賞、それに続くブリーダーズCが終われば、おおむねオフシーズンに入るのだから、ジャパンCにホコ先を向けようという馬が少なくなるのは、やむをえないところか。
それと12月には香港Cが控えている。外国馬としてはこちらの選択肢もあるわけで、日本馬の質が年々アップしていることもあり、いろいろと事情が重なって日本の土を踏むのを遠慮したくもなるのだろう。
しかし今回は、これまでとは雰囲気が違うようだ。
外国勢は4頭。肩書がすごい一線級の顔は見られないものの、これからがピークという生きがいい馬ばかりなのだ。
しかもキャリアの少ない3歳馬が2頭。うちイラプトは、凱旋門賞で見せ場たっぷりに5着。それ以来、満を持しての参戦。3走前には伝統のGIパリ大賞典を勝っており、これが外国勢では大将格だろう。
ということで、日本勢が勝ち続けてはいるが、今回は断じて外国勢を軽視してはならないということは言えそうだ。
馬単が導入されてから、これまでの13年間、その馬単で万馬券になったのは3回(馬連では2回)。日本馬が優勢だったのだから、そう大きく荒れなかったのはわかる。しかし、ラブリーデイ(天皇賞・秋)、ミッキークイーン(秋華賞)以下、ゴールドシップ、ショウナンパンドラが人気になる今回は、日本馬からしてこの評価どおりの答え、結果を出してくれるとは限らないような気がする。
日本勢の他の顔ぶれは、どれもクセ者ばかり。左回りの東京コースを得意としている馬が多く、ここを照準に万全の態勢を敷いている。であれば有力、人気どころの足をすくうことがあって不思議ない。そのうえ、前述したように外国勢の本気度が強いことが加わる。ならば一筋縄では決まらないと見るのが、むしろ自然ではないか。
穴党の出番である。外国勢のいずれかからと考えたが、海外から得られる情報が限られており、また馬体、稽古の動きなど、この原稿を書いている段階では関係者と接して取材できていないので、ためらいがあった。狙いは人気薄の日本馬。最も期待を寄せたいのは、ダービーフィズだ。
まだ重賞勝ちが1つ。それもGIII戦。前走の天皇賞・秋では見せ場さえ作れず、15着と凡走している。無謀な狙いと笑われてもしかたがないところだ。
が、天皇賞・秋は参考外にしていい。一息入ったあとで、まず体調が本当ではなかった。放牧でいったん体を緩めたこともあり、GIに臨むにあたって調教量が明らかに不足していた。前々走から16キロも体重が増えていたことが、その証拠だ。それと、レースぶりが消極的すぎた。それでも勝ち馬とは1秒差。5馬身ちょいしか負けていない。これなら挽回可能だ。
「オクテなのか、ここにきて驚くほどたくましくなって、調教での動きがこれまでとはまるで違ってきた。とにかく走る気になっている」
稽古をつける小島良助手がこう言って感心するほど状態がいいのだ。
距離延びてよく、左回りがスムーズな馬。使われて馬体が締まり、前走とは気配が一変している。ならば“一発”があっていい。
伯父にマンハッタンカフェ(菊花賞などGI3勝)を持つ良血。良馬場条件に大きく狙ってみたい。