〈突然この場をお借りして、個人的な詫びを申し上げることをお許しください〉
改まったこんな文面で始まるのは、なんとビートたけしがしたためた謝罪文である。はたして世界のキタノがどうして、誰かに頭を下げなければならなくなったのか──。
事件は「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)の収録現場で起きた。
その日のテーマのひとつに「地下アイドル」があり、同ジャンルに明るい、プロインタビュアーの吉田豪氏がゲストに呼ばれていたのである。
スタジオ入りした同氏は、レギュラー出演者の大竹まことや阿川佐和子らと談笑していた。そこへ遅れて、御大・たけしがやってきたのだが、なぜか吉田氏のほうへ一直線! そしていきなり──、
「おう、お前か、吉田ってのは? おい、お前、なんか俺の悪口週刊誌で書いていたらしいな、おい?」
身に覚えのない吉田氏は事実を否定したのだが、たけしは続けた。
「ああん? お前、何かお前、俺の顔が曲がっているとか何か、書いたらしいじゃねえかよ、おい! よくお前、俺の番組出てこれたな?」
“リアル「アウトレイジ」”に吉田氏が硬直したまま、収録がスタートし、途中からスタジオに入る同氏は気が気ではなかったという。
蛇の生殺し状態のまま収録に参加した吉田氏の心持ちは容易に想像がつくが、なんと唐突に誤解は解けた。収録途中にスタッフから自身の間違いを伝えられたたけしは、
「吉田さん、さっきはごめんな。俺の勘違いだったわ」
と平身低頭。世界のキタノに謝られれば、生きた心地のしなかった吉田氏といえど、許すしかない。ところが、たけしのほうこそ後悔を抱えてしまったのである。すぐさま吉田氏と親交のある弟子の玉袋筋太郎に「謝っといてくれねえか」と何度も念を押してさらなる謝罪の代行を言いつけた。
それでも、たけしの気持ちは収まらなかったのだ。そして、A4判3枚にわたる謝罪文を書き、弟子を介して吉田氏に送ったのだった。
吉田氏も驚きを隠せなかった、〈鬼神の如き表情であなたを追い詰めてしまったことを深くお詫びいたします〉とまで記された謝罪文の全文は、4月1日に更新されるネットマガジン「ビートたけしのお笑いKGB」が余すところなく掲載し、両者をレポートしている。