出版不況が叫ばれて久しいが、それでも、又吉直樹の「火花」のように、メガヒットを生み出すこともある。逆に言えば、あれだけ話題をさらったのに、それぞれの事情で姿を消した「発禁本」という不思議な世界‥‥。その内情を徹底的にリサーチ!
○「卑屈の国の格言録」高橋健一・小明
昨年末に、女子高に軽トラで乗りつけ、大量の制服を盗んでいたことが発覚したキングオブコメディの高橋。逮捕という事態に、元アイドル・小明との共著が絶版処分になった。
○「賞味期限の過ぎた亭主・賞味期限の切れた女房」綾小路きみまろ
02年に発売されたネタ集として売れに売れたが、一部が「サラリーマン川柳」のパクリだったことが発覚。すぐに謝罪して該当部分を削除したが、それすらネタにする潔さが好感度を高めた。
○「洋子へ」長門裕之
85年に発売された芸能界暴露本のパイオニア。自身の女性遍歴だけならまだしも、芸能界の奔放な性まで実名で明かしたため、連日、ワイドショーで取り上げられた。
○「最後のパレード」中村克
東京ディズニーランドの感動エピソードを集めた本として大ヒットしたが、多くが読売新聞の読者投稿欄からの盗用であることが発覚。そもそも、扱う相手が危険すぎたかも。
○「絶歌」元少年A
97年に日本を震撼させた「神戸連続児童殺傷事件」の加害者が、事件の経緯や社会復帰までを綴った。本の出版にあたり、遺族は手紙の受け取りの拒否など厳しい態度を見せた。
○「僕はパパを殺すことに決めた」草薙厚子
06年に起きた「奈良エリート少年自宅放火事件」に迫ったルポルタージュだが、供述調書の引用を問題視した東京法務局長が謝罪勧告を通知。奈良裁判所も著者と出版社に抗議。