視聴率が1桁台に張り付き、すでに爆死確定の評判も高いドラマ「ラヴソング」(フジテレビ系)。その理由を主演・福山雅治の求心力低下に求める声は大きい。だが、回を重ねるにつれ、真の理由は福山の電撃結婚などではなく、ドラマのデキそのものにあることがわかってきたと指摘するのはテレビ誌のライターだ。
「福山が物理学者を演じた『ガリレオ』(フジテレビ系)が大ヒットした時、『じつに興味深い』と湯川をモノマネしていたのは男性視聴者だったはず。面白いドラマは性別を問わずにウケるわけで、内容が良ければ『ラヴソング』も福山の結婚を気にしない層から支持されるはずです。それが低視聴率に終わっているのは、前クールの『いつ恋』に続いて時代錯誤の脚本を垂れ流す、制作陣の責任であることは明らかですね」
本作では元ミュージシャンを演じる福山、そしてプロデビューを夢見るヒロイン・藤原さくらをメインに、音楽を軸に物語が進むはずだ。だが、重要なテーマである音楽シーンの描き方が、あまりにも前時代的だという。音楽ライターはこう指摘する。
「第5話でようやく、さくらの曲をネットで公開する話になるのですが、今どきプロを目指す若者がネットを活用していないわけがありません。しかも、レーベルと音源データをやり取りするのが当たり前の現代において、ライブハウスで見たミュージシャンを関係者がスカウトするなんて、一体いつの時代の話なのかと失笑ものですね。『いつ恋』に続いてここでも、描かれているのは昭和の世界なんです」
ちなみにライブシーンに使われているのは、出演者の宇崎竜童が東京・赤坂で経営するライブビストロ。劇中ではパンクバンドが演奏するシーンもあるが、店の構造は明らかにハードなバンドには不向きで、実に不自然な絵面となっている。これも制作陣が現実の音楽シーンを知らないか、同シーンの重要性を甘く見ているかのどちらかだろう。肝心のライブシーンをお手軽なロケで済ませているツケは、視聴率という結果に表れているようだ。
(金田麻有)