海外では日本代表の岡崎慎司が同僚FWとの間の「人種差別騒動」を乗り越えて、レスター・シティをプレミアリーグ初制覇に導いた。国内でも各クラブが差別撲滅の取り組みを続ける中、ラモス瑠偉が監督を務める人気チームのGMが外国人選手に「差別発言」を行ったという。現役選手が実名告発した。
取材で内紛が明るみに出たのはJ2所属の「FC岐阜」。元日本代表選手のラモス瑠偉(59)が14年1月から監督を務めるプロサッカーチームだ。
チーム関係者が語る。
「それまで東京ヴェルディやビーチサッカー日本代表を率いていたラモス監督は采配面での手腕はもちろん、選手たちから人格者として慕われています。その広いサッカー人脈で元日本代表のゴールキーパー、川口能活をはじめとする人気選手たちの獲得に大きく貢献。チームの士気を上げると同時に、就任前に比べて集客数がほぼ倍になるなど、経営面でも確実に成果を残しています」
そんなラモス監督との軋轢がささやかれているのが、14年12月にGM(チーム統括部長)に就任した高本詞史氏だ。京都サンガFCで選手生活を終え、その後も同チームで指導者としての道を歩んできた。
「チーム内では絶対的な権限を持つ立場であるにもかかわらず、選手からの評判はあまりよくありません。当然、選手の意思を一番に優先するラモス監督との確執は避けられず、両者の板挟みになっている者も少なくない状況です」(前出・チーム関係者)
選手の起用に関して、2人の意見が食い違うことは珍しくない。ラモス監督がテストで才能を見いだして入団にゴーサインを出した選手や、セカンドチーム「FC岐阜SECOND」からの昇格を決めた選手に対し、高本GMの対応はきわめて冷ややかだという。
「チームの強化を考えたうえでの判断なら理解もできるが、中には不当な理由でぞんざいな扱いを受けた選手もいます」(前出・チーム関係者)
高本GMの差別言動を実名で憤激告発するのは、現在もFC岐阜のセカンドチームに所属する森島渉選手(21)だ。彼は言う。
「高本GMから外国人差別の被害を受けたのはルーカス(18)というブラジル人選手。昨年3月にセカンドチームの練習に参加して、ラモス監督に合格を言い渡されながら、なかなか選手登録されず、試合にも出られませんでした」
疑問に感じたルーカス選手は、昨年5月に父親を伴って高本GMと話し合いの場を持った。森島選手によれば、選手登録をされない理由について、高本GMはこう発言したというのだ。
「17歳(当時)でブラジル人。ちゃんと教育を受けているかわからないし、盗みなどをしかねない。そうなった場合、責任を取るのは誰だと思っているんだ」
とてもチームの総責任者であるGMの言葉とは思えない。
「そこには、ルーカスとルーカスの父親の他に、セカンドチームの勝野正之総監督も同席していたといいますが、高本GMの権限を恐れて、だんまりを決め込んでいたと聞きました」(前出・森島選手)