“聖母”の旅立ちを会場に訪れた約8000人のファンたちはむせび泣きながら見送った。
6月16日に乃木坂46が「乃木坂46 真夏の全国ツアー2016 ~深川麻衣卒業コンサート~」を行い、最年長メンバーの深川麻衣がこの日でグループを卒業した。
深川の地元・静岡エコパアリーナで行われた今回のコンサートは、ダブルアンコールを含めると約3時間半にも及ぶ大ボリュームのライブとなった。アンコールではメンバー、スタッフ、ファンにあてた手紙を深川が読み上げたことに始まり、深川とプライベートでも仲がいい橋本奈々未が深川へ向けた手紙でエールを送り、さらに深川の母が宛てた手紙を読み上げるサプライズありと、通常のライブ構成とは違った盛りだくさんの内容となった。
これだけの仕掛けにも感動させられたが、卒業するのが周囲に癒しを与え続け、“聖母”の愛称で親しまれてきた人気メンバーの深川ということもあり、深川本人はもちろん、メンバー、そしてファンたち会場のほとんどの人が涙した。
「アンコールではメンバー各々と深川が抱き合うシーンがあったのですが、声を上げて泣くメンバーも多く、いかに深川が乃木坂というグループの精神的支柱であったかがわかります。そんなステージ上のやり取りを見ていた観客席でも、ファンがすすり泣く音が至るところから聞こえましたね。乃木坂のライブで会場全体がここまでしんみりした空気に包まれたのは初めてだったと思います」(アイドル誌ライター)
深川の最後の勇姿を見守った、同じ静岡県出身のファンは今回のコンサートをこう振り返っている。
「自分の卒業コンサートなのに、いつものまいまい(深川)らしく、泣いているメンバーを励ましたり、ファンを楽しませるためにちょっとしたところで笑いをとったり、とにかく“聖母”らしい配慮が見られて凄いと思いました。これまでまいまいを応援してきたことを誇りに思います。そして何より、地元の静岡で乃木坂のライブが見られるとは思っていなかったので、まいまいには本当に感謝しかない!」
この日のコンサートは、深川が最初で最後のセンターを務めた「ハルジオンが咲く頃」でスタートし、ダブルアンコールで最後を締めくくったのもこの一曲だった。
深川のために作られたような同楽曲のサビの歌詞には、「ハルジオンが道に咲いたら君のことを僕らは思い出すだろう」とあるが、メンバーにとってもファンにとっても聞くたびに深川を思い出す一曲になったことは間違いない。
(石田安竹)