ラストスパートに入っても、広島の勢いが止まらない。大失速で迷走状態に入った巨人の体たらくも重なって、2位以下を大きく引き離しての完全な独走態勢だ。25年ぶりの悲願達成に向け、ますます血気盛んなベンチ裏のイケイケ肉声をお届けしよう。
いったい、何がカープをここまで「強いチーム」へと変えたのか。今季、まず大きく変わったのは、実は緒方孝市監督(47)の“キャラ変”だったという。昨季の監督ルーキーイヤーは、シーズン当初から試合後の囲み取材でも質問を受け付けず、一方的に口を開いたままコメントを終了して、ひんしゅくを買っていた。
「昨シーズンの途中、地元の担当記者たちの強い要望を受けた球団側が緒方監督に『きちんと質問を受けるように』と注意し、本人もそれをしぶしぶ受け入れたんです。ところが、ぶっきらぼうな対応はなかなか直らず、試合に負けると選手を批判することも目立っていた。主力の間でも『メディアを使って批判するなんて』と指揮官へのブーイングが湧き起こっていました」(地元メディア関係者)
しかもシーズンを通し、ファンへの対応も芳しくなかった。最悪だったのは本拠地・マツダスタジアムで行われたシーズン最終戦。勝てばCS進出決定の試合で負けてしまい、Aクラス入りを逃した直後である。
「本拠地最終戦なので、本来ならグラウンドでマイクを使って試合後の挨拶をしなければいけないのに、緒方監督は一礼だけしてベンチに下がってしまったんです。ネット上でも『緒方が逃げた』とバッシングされ、チーム内外で袋叩き状態となった。地元ファンから『緒方を一刻も早く辞めさせろ』という声が多数出て、一時は署名運動まで起こりそうな勢いでした」
ところが、そんな負の流れが「強権発動」によってピタリと止まった。昨オフ、松田元オーナー(65)が「16年も緒方体制を引き続き全面バックアップする」と強い姿勢で打ち出したからだ。そのドンから「何があってもオマエとは一蓮托生だ。次のシーズンはオレに恥をかかせるな。オマエも少し心を入れ替えなきゃイカンぞ」と直接ゲキを飛ばされたことで、緒方監督は変わったという。やや内向的な性格を思い切って改善しようと決意。その結果、試合後のコメントによる“発信力”が、今季から劇的に高まったのだ。
「試合で活躍したヒーローを『○○が本当によく頑張ってくれた』と当たり前のように激賞し、陰に隠れて貢献した選手についてもホメることを忘れずスポットを当て、負けても『選手は悪くない。オレの責任』と潔い。そうした監督のコメントを選手たちはいつもスマホで食い入るように読んでいますよ。『あ、今日はオレのこと言ってくれてる』『監督もなかなか、いいこと言ってくれるなあ』などと主力たちがささやき合っているんです。大ブレイクした鈴木誠也(22)に対する『神ってる』も“緒方語録”で、選手たちの間でも、すっかりブームになっている。監督の試合後の言葉が明らかにチームのムードをよくし、選手たちをノセている。昨季あれだけ批判されていたのが、ウソのようです」(チーム関係者)