中森明菜が12月に全7公演のディナーショーを開催。人前で歌うのは2009年以来、実に7年ぶりとなる。しかし今年で51歳となり、いまや「昔の名前で出ています」状態の明菜に、4万円以上もするチケットが売れるほどの人気が残っているのだろうか。音楽ライターが今どきのライブ事情について解説する。
「最近は20世紀にヒットを飛ばしたかつての人気アーティストがこぞってライブを開催しています。同世代のファンは年齢と共に仕事が落ち着き、子供も成長して手離れしたことで、ライブに足を運ぶ余裕があるのです。明菜ほどの人気者になれば、ファンは50代はもちろん、60代や70代にまで及びますから、ディナーショーはさながら老人会のような景色になることでしょう。そんな年配ファンが若者たちと同じようにTシャツやタオルを買い集め、全身をアーティストグッズでキメる姿はなかなか壮観ですよ」
21世紀らしい光景が繰り広げられる一方で、アーティストとファンの高齢化に伴い、今どきのライブとは異なる様子も見られるというのだ。音楽ライターが続ける。
「演じるほうも観るほうも体力が落ちていますから、市民ホールのように固定座席のある会場か、ライブハウスならパイプ椅子を出しての全員着席が基本です。またライブ自体が短かったり、もしくは半分以上をトークコーナーが占めることも。その点で着席マストのディナーショーは、ライブもせいぜい1時間半ほどと短めなので、ベストな選択なのです」
ディナーショー初日の12月4日はファンクラブ限定公演となっており、しかもライブ時間はわずか1時間に過ぎない。それでも往年のファンは5万円という料金はまったく気にならないようだ。そのように年配ファンを対象に高額なディナーショーに徹する明菜の姿勢は、ある意味で潔いのかもしれない。
(金田麻有)