これまで多くの芸能人がガンを克服してきた。13年に「全身ガン」だと明かした樹木希林(73)は、奇跡の復活を遂げ、今では精力的に女優業をこなしている。
「希林さんの口から『全身への転移』を聞いた時は衝撃を受けましたが、翌年には治療が終了したことをメディアに報告。その回復力には驚かされました」(芸能記者)
樹木を全快させたと言われる先進医療が、「陽子線治療」だ。ガンの治療は大きく分けて、手術、放射線治療、化学療法の3つがある。陽子線治療は、放射線治療の一つで、近年その治療効果に注目が集まっている。
「陽子線治療は、粒子加速器を用いて水素の原子核のエネルギーを高めて治療に用います。これまでの放射線治療では、体の表面近くで最も強いエネルギーを放ち、体の奥へ入るにしたがい、エネルギーが弱くなってしまうのが特徴でしたが、陽子線治療は、設定した深さに到達した時に最大のエネルギーを放出するため、病巣のみに集中した効果が期待できます。今まで治療が難しかったガンにも有効性を発揮しています」(都内の大学病院に勤務する内科医)
治療効果が大きいわりに副作用が少ないのも特徴だという。
「ひとりひとりの患者に対して、綿密な計画に基づいた最適な照射を行うことで、腫瘍をピンポイントでくりぬくように除去でき、周囲の正常な組織への影響を最低限に抑えることができます」(前出・内科医)
体への負担も少なく、効果的にガン細胞を死滅させる画期的な治療法と言えるかもしれない。しかし、誰でも簡単に受けられるわけではない。
「陽子線治療が受けられる医療施設は国内でも限られていて、半年先まで予約が埋まっているところも珍しくありません。何より患者の経済的負担が大きい。施設によっては入院費や診察費を含めて1回の治療で300万円以上かかるところもあります」(前出・内科医)
この陽子線治療に限らず、ガン先進医療には高額な費用がかかる。
「健康保険が適用される範囲内の治療であれば、3割負担で済み、さらに高額療養費制度を利用すれば、自己負担は多くの場合10万円以下で済みます。しかし、保険外のガン治療となると、1回の治療で200万円を超えることも珍しくなく、全額自己負担となります」(村上氏)
ブログ収入の400万円などすぐ底をつく計算だ。