英ダービー馬のハーザンド(牡3)と英オークス馬のマインディング(牝3)については、牧野記者が次のように評する。
「10年の2着馬ナカヤマフェスタを破ったのが、英ダービー馬のワークフォースでしたが、最近は13年のルールオブザワールドが期待を裏切るなど、存在感が感じられません。名伯楽・オブライエン調教師が送り込むマインディングは、ここにきて人気が上がっています。主戦のムーア騎手が乗ってくれば、なおさらでしょう。ただ、オークスから3戦しているローテーションが気になる。海外に詳しい日本の騎手も『今年はオブライエン厩舎よりもルジュ厩舎(アルマンゾル、ラクレソニエールが所属)でしょ!』と話していました」
頂上決戦にふさわしいラインナップの中、レース展開はどうなるのか。
「15頭から20頭ほどの多頭数になりそう。それに加え、ポストポンド陣営はペースメーカーを出走させそうで、ハーザンド陣営もその可能性がある。ある程度のペースで流れると見ています。多頭数でごちゃつく可能性があるだけに、脚質的には不利を受けにくい先行タイプがやや有利でしょうか。ポストポンドやニューベイ(牡4)、レフトハンドあたりに注意。差しはファウンドやラクレソニエール。桁違いの瞬発力が武器のアルマンゾルも仏ダービーでは中団の前につけていたので、今回も差しに構えると思います。マカヒキも中団あたりでレースを進めたい」(秋山氏)
後方一気は苦しいようだ。
では、日本での馬券の買い方に移ろう。
まず、競馬場やウインズでは購入できない。インターネット投票(A-PATと即PAT)だけなので、JRAサイトなどからの会員登録が必要になる。発売が正式に決定したあとは、日本馬が出走を取り消しても、馬券発売は行われる。枠連やWIN5はなく、単勝、複勝、馬連、馬単、ワイド、3連複、3連単の7種類。凱旋門賞が開催される10月2日、日本時間の午前10時から発売開始で、締め切りは発走時刻(午後11時5分予定)の4分前だ。
注意が必要なのは、オッズ。日本国内独自のものとなり、現地のオッズとは別モノなのだ。控除率も通常のJRA馬券と一緒だが、
「日本ではマカヒキが過剰人気になる可能性もある」(JRA関係者)
馬番(ゼッケン番号)が馬券対象になるが、日本ではゲート番号と一致していても、海外では国ごとに事情が違う点にも留意を。前出・秋山氏は、
「日本の感覚で馬番が1番だから最内枠だろうと思うと、まったく違うゲートからスタートすることも。米ブリーダーズカップのように、紛らわしいので一致させるケースもあれば、凱旋門賞は斤量の重い順、次にオーナーの姓のアルファベット順、続いて馬名のアルファベット順で付与されます」
ペースメーカーの存在も念頭に置く必要がある。
「基本的には同じ馬主の馬のために速めにペースを作り出すのが役割なので、ほとんどの場合、負けます。ただ01年のGI・クイーンエリザベスII世Sのサモナーのように、まれに逃げ切ってしまうことも(笑)。出馬表にペースメーカーと書いてあるわけではないし、陣営が事前にアナウンスしない場合もあるので、注意してください」(前出・秋山氏)
今年の海外馬券発売予定レースを見ていこう。
11月1日には、06年に日本馬デルタブルースとポップロックがワンツーを決めた豪GI・メルボルンC(芝3200メートル)が行われる。今年はカレンミロティック(せん8)が参戦を表明。秋山氏が続ける。
「オセアニアはレースを使って仕上げていくという考え方が強い。08年と09年の優勝馬は中2日の参戦でした(笑)。昨年は23番人気が勝つなど、穴党にオススメのレースですね」
また、オークス馬のヌーヴォレコルト(牝5)は、米国遠征を予定している。
「11月5日のGI・ブリーダーズCフィリー&メアターフ(芝2000メートル)です。農水省の(年間)指定24レースには含まれていませんが、例外として発売される可能性もあります」(前出・牧野記者)
競馬ファンの健闘を祈る。