芸能

病魔と闘う荒ぶる役者たちの不屈秘話 「第2回・梅宮辰夫」(1)女を泣かす梅宮で売り出せ

20161027j1st

「不良性」と「女たらし」を打ち出し、独自の味わいで看板スターになった。さらに梅宮辰夫は、テレビの世界でも「兄貴分」の立ち居振る舞いで、新たな魅力を開花。東映の武骨な役者としては、茶の間にも温かく受け入れられた稀有なタイプである。そして今、次々と襲う疾患と“対マン”を張っている。

「昭和の映画スターが皆無のような状態になり残念です。寂しいです。今は詮ないことです。どうか、そちらの世界でもお元気で」

 2月28日、青山斎場で行われた安藤昇の「お別れの会」で、遺影に語りかける梅宮辰夫(78)を見た筆者は、その弱々しい声と、歩行補助器にすがる姿に呆然とした。本来ならば外出すら許されない状態で、それでも梅宮は、多くの安藤主演作に出演した義理から献酒の挨拶に立った。

 だが、その義理堅さは梅宮を尋常ならざる事態に追い込む。参列のために入院を2日ほど先送りにしたため、肺炎、心不全、腎不全など8つの合併症が出て、生死の淵をさまようことになる。

「意識を失っているようなものだから俺はわからなかったが、妻とマネージャーは医者に『今夜がヤマ』と言われたそうだ」

 梅宮は6月に出演した番組で、余命宣告の危機であったことを明かした。梅宮と50年来のつきあいになる映画監督・内藤誠は、直後の4月にCS番組で梅宮と顔を合わせている。

「僕の顔を見るなり『冷てえじゃねえか』って言うんですよ。わざと『何で見舞いに来てくれなかったんだよ』って。それは梅宮のいつもの言い方で、自分のことになると病院がどこかも教えない。その代わり、弟分だった安岡力也が入院すると、映画のトークショーのギャラを『俺はいらないから見舞い金に持って行ってくれ』と言うような男なんだ」

 内藤は監督として一本立ちした「不良番長 送り狼」(69年、東映)から梅宮と本格的に組むようになった。梅宮にとって全16作も続いた「不良番長」は、どんな作品よりも愛着がある、自身の代名詞と公言する。

 当時、梅宮は二枚目俳優として期待されながら、日の目を見ない状態。それならばと岡田茂社長が、日常の梅宮と同じ「女たらし」の役で主演企画を立てた。

 梅宮の主演作は、鶴田浩二や高倉健の任侠作品の併映になることが多かったが、二本立ての看板にはこんな惹句(じゃっく)が使われた。

〈男を泣かせる鶴田、女を泣かす梅宮〉

 こうした扱いにも、むしろ梅宮は生き生きと取り組んでいたという。さらに、内藤が撮るようになってからレギュラー入りした山城新伍の存在も大きかった。

「最初は梅宮に『何であんなヤツを呼んだんだ!』と怒られたよ。新伍のメチャクチャなパワーのせいで、『不良番長』が完全なコメディ映画になっちゃったから。ただ、そのうち2人は抜群のコンビになって、その後の『帝王シリーズ』(70~72年、東映)でも組ませるようにと会社から指名されていた」

 内藤は役柄よろしく、山城や力也、渡瀬恒彦を引き連れて六本木を飲み歩く梅宮の“番長ぶり”を観察した。飲めば暴れる若手の役者もいたが、それを抑えるのは梅宮番長の役目だ。

 さらに、大阪・天王寺のキャバレーでスタッフ一同に大盤振る舞いする姿も目撃した。

「梅宮に『大変じゃない?』って聞いたら『いや、大丈夫だ』って言う。そのうち、ステージに立って梅宮が歌い出したんだけど、それで飲み代くらいのギャラが出ると。そこはしっかりしているなと感心したよ」

 映画を地で行く不良たちの青春だった。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
【NHK朝ドラ】今田美桜と河合優実の「見事なあんぱん」が弾む出色CMがコレだ!
2
橋本環奈だけじゃない…NHK朝ドラが「黒歴史」へと暗転したヒロイン女優たち
3
ヤクルト・村上宗隆「上半身のコンディション不良」って何?「ポスティング移籍金」に影響するからと…
4
【GⅠ高松宮記念ズバリ!】「良馬場」ならナムラクレア「稍重以下」ならマッドクール」が軸になる「ウハウハ馬連5点」
5
日本将棋連盟「ファン向け超高額設定プログラム」に「庶民は将棋界に不要ってことか」怒りのオンパレード